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阪神の岡田監督が第2クールの中間総括会見で不満を爆破させた(写真・黒田史夫)
阪神の岡田監督が第2クールの中間総括会見で不満を爆破させた(写真・黒田史夫)

なぜ阪神の岡田監督は不満を爆発させたのか…「あんまり投げへん新外国人は不安」「1、2軍入れ替えをコーチが許してくれへん」

 阪神は7日、今キャンプ初のシート打撃で第2クールを終えたが、岡田彰布監督(65)が不満を爆発させた。そもそもシート打撃に反対だった岡田監督は、2人の外国人投手が、ここまで2度しかブルペンに入っていないことや、1、2軍の入れ替えの断行をコーチ陣にストップさせられたことへなどの不満を次々と明かした。ただ、これは怒りでも不協和音でもない。これは岡田監督流の「考えよ」というコーチ、選手へのメッセージなのだ。

 ノイジー、ミエセスのアベックアーチを影から演出

 第2クールの総括会見で岡田監督の不満が爆発した。
 スイッチが入ったのは、ガンケル、ウィルカーソンに代わる先発候補のブライアン・ケラー、勝利方程式として考えているジェレミー・ビーズリーの新外国人2人の調整について「順調ですね?」と質問が飛んだ場面だった。
「いやいや。あんまり投げへんからね。昨日も今日も投げると思っていたけど見られへんかったから、その辺はちょっと不安ですね。投げる姿を見てないんだもん。2回しか(ピッチングを)見てないしねえ」
 2人はキャンプ2日目に揃って初投げをしたが、その後、ブルペンに入ったのは一度だけ。マイペースすぎる調整方法に不満を漏らした。
 岡田監督は、過去の監督時代にキャンプ中のホテルの自室にホワイトボードを持ちこみ、そこに投手陣の球数を書き込んでいた。調整具合が一目瞭然でわかるからだ。体の張りなどコンディションの問題に関して「報告は受けていない」というのにあまりのスローペースに思わず不満が口をついた。
 “アレ”のカギを握る2人の調整が気になるのは当然だろう。
 一方で「3番」を予定しているシェルドン・ノイジー、大化けを期待しているヨハン・ミエセスの野手の新外国人2人は、この日の初のシート打撃でアベックアーチを競演した。
 だが、岡田監督は、その裏舞台を明かし、コーチ陣に配慮が欠けていたことを愚痴った。シート打撃には、西勇輝ら6投手が投げたが、打者の人数が余っていたため、ノイジー、ミエセスに、もう1打席立たせるように指示。しかし、初実戦の外国人にとっては、対応が難しい右の変則投手の岡留英貴と、ぶつかるような順番になっていた。それに気づいた岡田監督は、本格派左腕である桐敷拓馬と対戦するように順番の変更をコーチ陣に伝えていたのである。
「岡留より、桐敷のほうがええやん。いきなりサイドじゃ…。(順番が)逆やろ。臨機応変にちゃんとやらんと。オレらが選手を潰したらあかん。潰す必要ないやん」
 するとノイジーが146キロのど真ん中のストレートをレフトスタンドへ運び、続くミエセスも148キロのストレートを思い切り引っ張って特大の一発。ノイジーを「2人の外国人選手の連続本塁打はあまりないこと。特に初日のシートの中で出たのは本当にうれしかった」と、気分よくさせるようなアベックアーチを演出してみせたのである。
「ノイジーはええよ。フリー打撃見てもええやん。その通りやん。今打った打たないで評価してへんからね。“ホームラン打ちました”で(スポーツ紙の)1面いったらええ話やん。今打っても一銭にもならんし、シーズンにどれだけ打つかやけど(シート打撃でも)打たんより、打った方がええやん」
 未知の日本野球に対する不安を抱えている2人の助っ人の気分を乗せてあげるのが狙い。スポーツ紙の1面をジャックすれば、気をよくするし、マスコミからの厳しい声も封じこめておける。それらを計算しての指揮官の演出が見事にはまったのである。

 

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