なぜ阪神の岡田監督は不満を爆発させたのか…「あんまり投げへん新外国人は不安」「1、2軍入れ替えをコーチが許してくれへん」
今年から2軍のキャンプは、高知・安芸を撤退し、宜野座から車で30分くらいの場所にある、うるま市の具志川で行われている。5日に岡田監督は視察に訪れた。これまでと環境が変わったことで、時間もお金もかけずに、1、2軍の入れ替えを行うことが可能になった。岡田監督は、そのメリットを最大限に利用しようと考えていたが、コーチ陣の予想外の反対を受けた。
岡田監督は、「(昨年の)11月から(練習を見てきて、この選手は)しんどいなっていうのをオレ自身が持っている。進歩してよくなっているなら言わへんけど、あんまり変われへん」と続けた。つまり岡田監督の中では、すでに複数の2軍落ちメンバーの見極めができているのだが、コーチ陣からは「もう少しチャンスを」と懇願されたのである。
「2軍(の首脳陣は)は入れ替えようとしていることを知らんやろ。2軍は、(11、12日の全員参加の)紅白でなんとかアピールしようという気でやっていると思うよ」
2軍から1軍昇格の推薦があるわけではないという。
「紅白の結果で打ったから1軍、打たなかったから2軍という評価をするつもりはない」が、第3クールでの全員紅白で、最初の1、2軍の入れ替えが行われるだろう。
岡田監督はたまっていた不満を爆発させたが、強硬手段には出なかった。おそらく15年前の岡田監督であれば、有無をいわせず、自分の方針を貫き、シート打撃も行わなかったし、1、2軍の入れ替えも断行しただろう。結果的にコーチ陣の意見に従ったのが、オリックス監督の退任以降、10年の年月を経て、岡田監督のマネジメントの視野が広がり、人間的に丸くなった部分ではある。今回も、激怒したわけでも、チーム内で不協和音が起きたわけでもない。
ただチーム内部での話にとどめず不満を爆発させた理由は、2005年のV戦士をはじめとした若返ったコーチ陣へ「考えよ」のメッセージを伝えたかったのだろう。アレを狙う指揮官の言葉には、奥深い意味があることをコーチ陣や選手は理解しておかねばならない。こういうトライ&エラーを積み重ねながら「このチームにはノビシロがある」という未完成のチームが強くなっていくのである。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)