なぜ森保監督はブライトンで大活躍をしている三笘薫の「ジョーカー」から「先発起用」への”格上げ”を示唆したのか?
大会前の最後の調整の場として組まれた、カナダ代表との国際親善試合も欠場。必死にドイツ戦へ間に合わせた三笘は、大会期間中にこんな言葉を残している。
「この大会では流れを変える役割を託されている。ドリブルを含めて1対1で違いを見せつけて、優位に立つことでチームを活気づけるのが大事だと思っています」
しかし、W杯は道半ばで幕を閉じた。クロアチア代表との決勝トーナメント1回戦。1-1のままもつれ込んだPK戦で、2番手を志願するも相手キーパーに止められてしまった三笘は敗退後に号泣しながら、2026年の次回大会へ誓いを新たにしている。
「代表でもチームを勝たせる存在になっていかなければいけない。W杯で活躍して、代表をベスト8以上に導けるのがいい選手だと思っているので」
決意通りにブライトンではチームを勝たせる存在になった。
前述したゴールの量産ぶりに加えて、リーグ戦が再開された昨年末から、FAカップを含めて8試合すべてで左MFとして先発。フル出場が5度を数え、この間の平均プレー時間は約86分に達した。体調にもスタミナにも何ら問題がないと自らのプレーで証明している。
こうした状況を受けて、オンライン取材では森保監督にこんな質問が飛んだ。先発でも違いを生み出せる、チームの中心を担えるレベルに達していると見ていいでしょうか、と。
「先発でプレーできるだけの力はある、と思って見ています」
指揮官はこう明言した上で、さらに言葉を紡いだ。そこにはヨーロッパでさらに高める“個の力”を、代表にも還元するエースになってほしいという思いが込められている。
「これから研究されたなかでもシーズンを通して、1シーズンだけじゃなくて2シーズン、もっとといった形でできるように、さらに積み上げていってほしい」
第2次森保ジャパンの船出となる3月の国際親善試合シリーズは、28日の第2戦(ヨドコウ桜スタジアム)でコロンビア代表との対戦がすでに決定。24日の第1戦(国立競技場)も南米の強豪国を候補に、マッチメーク交渉は大詰めを迎えている。
「カタール大会を経験した選手たちをベースに、新戦力を含めて幅広く選手たちをリストアップしてメンバーを編成していきたいと思っています」
W杯後に再開された各国のリーグ戦で出色のプレーを演じる久保、そして三笘はベースどころか間違いなく主役を担う。前日7日には視察した森保監督の目の前で、MF鎌田大地(26、アイントラハト・フランクフルト)が豪快なミドルシュートを決めた。注目の新生日本代表メンバーは3月20日に始まる国際Aマッチデー期間の前週、15日もしくは16日に発表される予定だ。
(文責・藤江直人/スポーツライター)