ついに“三笘包囲網”の徹底マークに4戦連発ならず
イングランド・プレミアリーグ第23節が11日(日本時間12日未明)に行われ、大ブレーク中の日本代表MF三笘薫(25)を擁するブライトンは敵地でクリスタル・パレスと1-1で引き分けた。三笘は前半26分の決定機でシュートを止められ、後半42分のビッグチャンスでは相手の必死のブロックに阻まれ、4戦連発のゴールは記録できなかった。後半18分に先制しながら、同24分に守護神ロベルト・サンチェス(25)のまさかのミスから追いつかれるなど、消化不良のドローとなった。
元イングランド代表の徹底マーク
ゴールの匂いを嗅ぎ取った三笘が、主戦場の左サイドからクリスタル・パレスのペナルティーエリア内へ、それもゴールの右ポストをめがけて一気に加速していった。
1-1で迎えた後半42分に訪れたブライトンのチャンス。反対側の右サイドではMFソリー・マーチ(28)が、コーナーフラッグ付近からドリブル突破を開始。ゴールラインと平行するコース取りから3人を抜き去り、そのままペナルティーエリア内へ侵入してきた。
最後は別の選手に行く手を阻まれたマーチの選択肢はただひとつ。利き足の左足から鋭いグラウンダーのパスをニアサイドへ放つ。味方の誰かがボールに触れば、勝ち越しゴールが生まれる確率が極めて高くなる。以心伝心で走り込んできたのが三笘だった。
しかし、三笘には“影”が張りついていた。
クリスタル・パレスの右サイドバック、ナサニエル・クライン(31)が必死に食らいついてくる。三笘のマーク役を担い続けてきた元イングランド代表は、最後は体を張って三笘とともにピッチ上に転がり込む。果たして、ボールはクラインのブロックに弾き返された。
プレミアリーグには数多くのダービーマッチが存在する。そのなかでもお互いのホームタウンが近く、双方を結ぶ高速道路の名前を取って「M23ダービー」と呼ばれてきたブライトンとクリスタル・パレスの激突は、指折りの激しさを持つ一戦として知られてきた。
9月にブライトンのホームで予定されていた第8節は、鉄道ストライキの影響で中止になっていた。今シーズンにブライトンへ復帰し、それまでは未知の世界だったプレミアリーグを戦っている三笘が初めて経験する「M23ダービー」で、徹底した対策を講じられた。
ボールを持てばクラインがマンツーマンでマークしてくる。さらにもう一人、別の相手選手も三笘のドリブル突破に備えてクラインの近くにポジションを取っている。常に数的不利を強いられているような状況で、それでも前半26分には決定的な場面を作り出した。
左サイドでボールを受けて、クラインと対峙した直後だった。得意のカットインから、ゴール中央にポジションを取ってきたマーチへパス。間髪入れずにクラインの背後を取って、相手ゴール前へ侵入していった。この間、クラインは何もできなかった。
マーチとのワンツーを成功させた時点で、三笘の目の前には誰もいなかった。ただ、角度がない。それでも迷わずに右足を振り抜き、ゴール右隅へ鋭いシュートを放った。しかし、相手の守護神ビセンテ・グアイタ(35)が必死にダイブ。左手一本でセーブされてしまった。
直近の公式戦7試合で3戦連発を含めた5ゴールをマーク。サッカーの母国イングランドを席巻してきただけに、ホームのセルハースト・パークを舞台にしたダービーで、またもや無双ぶりを発揮させてなるものかとクリスタル・パレスも三笘の対面に人数を割いてきた。