ブライトン三笘薫の争奪戦が激化してきた(写真・アフロ)
ブライトン三笘薫の争奪戦が激化してきた(写真・アフロ)

ついに“三笘包囲網”の徹底マークに4戦連発ならず

 

 警戒されても味方にパスを要求して、強引にでも仕掛けるのか。ジョーカーとして活躍したW杯カタール大会中に、三笘はプレーの優先順位をこう語っていた。
「どの試合でもボールをロストすれば、相手のカウンターを招く危険があります。ボールを失う、という重みはどの試合でも変わりませんが、だからといって仕掛けるのを自重するとか、仕掛ける回数そのものが少なくなるわけではないし、リスクを抑えるというのも違います。やっぱり仕掛けるところは仕掛ける。そこは状況判断にかかってくると思っています」
 クリスタル・パレス戦における判断は、自らが“囮”になる展開だった。
 クラインともう一人の選手が自分をケアしてくる戦法を逆手に取って、タッチライン際を含めて左サイドにとどまる。自分にはなかなかボールが回って来ない展開になったとしても、ブライトンの右サイドを生かすことでゴールを奪える確率を高めていく。
 後半18分に生まれた待望の先制点は人数をかけて左サイドを崩し、エクアドル代表の左サイドバック、ペルビス・エストゥピニャン(25)があげたクロスを、ファーサイドへ飛び込んできたマーチが押し込んだものだった。もっとも、この場面では一度、ボールを失いかけている。直後に素早いプレスバックを仕掛け、ボールを味方へ繋げたのは三笘だった。
 しかし、状況は6分後の同24分に暗転してしまった。
 左サイドから放たれた相手の直接FKを、ファーサイドで捕球体勢に入った守護神サンチェスがファンブル。スペイン代表が犯したまさかのミスを味方の誰もがカバーできず、攻め上がっていた相手センターバックのジェームズ・トムキンス(33)に頭で押し込まれてしまった。この一撃が、クリスタル・パレスが90分間を通じて放った唯一の枠内シュートだった。
 試合はそのまま引き分けで終わった。ボール支配率で75%対25%、シュート数で17対6と宿敵を圧倒しながら勝ち点が「1」にとどまった一戦を、イギリス紙『Daily Mirror』は「来シーズンのヨーロッパの戦いを目指す上で痛恨の極みになる」と指摘。さらにこう続けた。
「いつも頼りになるサンチェスが、イーグルス(クリスタル・パレスの愛称)に救いの手を差し伸べた。サンチェスは余裕でキャッチできると見えたが、完全に失敗してしまった」
 ブライトンの公式HPは試合終了からほどなくして、ロベルト・デ・ゼルビ監督(43)のコメントを掲載している。シーズン途中の昨年9月に就任。攻撃的なスタイルを標榜するイタリア人指揮官は「勝ち点2を失った」と引き分けを振り返りながら、努めて前を向いた。
「結果そのものはアンラッキーだったが、得点できるチャンスは何度もあった。選手たちのパフォーマンスとプレーの質には本当に誇りを持っている」

 

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