銀髪丸刈りで4.8有明デビュー戦会見に臨んだ那須川天心はボクシング界の革命児となれるのか…「はみだし者でなければ時代は変えられない」
実際に足を踏み入れたボクシング界には「感覚ですが、いい風が吹いている。すげえいいな、いけてるなと思う。毎日が楽しくストレスもない。本気で好きなことをやれているのが最高で。そう思わせてくれたボクシング界が好きになった。まだまだ格闘技は辞められないなと思った」そうだが、一方で「そこをはみだす人が増えればもっと良くなる。そのきっかけに僕がなれば」との決意をも口にした。
「もう僕は、はみでているので、これ以上はみでる必要はない。ボクシング界だけでなく世間と戦うことを意識している」
デビュー戦で何が楽しみか?と聞かれ、「空間に異物、よそものが入ってきたときが客観的に一番楽しい。時代を変える人は、飛び抜けた行動をしないと変えられない。いい方向に変えたい」とも言う。
ボクシング界に革命を起こすつもりなのだ。
ボクシング界での“天心革命”は成功するのか。
本田会長にも、天心には、これまでのボクサーの枠組みを飛び出しての活躍への期待がある。
「天心は10代、20代の若者に圧倒的に支持されている。男女問わずにね。今までのボクシング界になかったファン層。井上尚弥が若い層に人気を広げたが、天心は、さらに下の年代にまで知名度がある。そういう人達を取り込むことができればボクシング界全体が大きく変わりますよ」
広告会社の調査では天心の知名度や好感度は10代、20代にまで広がっているのが特徴。天心自身は、昨年6月に東京ドームでK―1王者の武尊と戦った「THE MATCH」の効果で「顔と名前が一致しなくても、世の中ほぼすべての人が那須川天心の名前を知ってくれた」との実感も得た。
天心は、若者に支持されている理由を「マインドじゃないですか」と分析している。
「僕はネガティブなことを絶対に言わない。考えたことすらない。自分は自分、今起きていることのすべてがリアルですよ。今の世の中って生き辛い。だけど『そんなことないよ』と導いてあげないといけない。小中高の若い子は、学校で教えられ先生に言われたことがすべてだと思う世の中。それもあるけれど、『もっと活躍できる』という素敵なことを探すきっかけに僕がなれればいい。10年後、20年後の日本を動かすのは、今の10代、20代の人達なんでね」
だからこそボクシングへ挑戦する姿を若者へ見せたいという。
「生き様だったり、スタイルで感じて欲しい」
若者の共感を得ている超ポジティブ思考の原点には母親の影響があるとも明かした。
「元々かあちゃんが、めっちゃポジティブで怒られたことがない。“法を犯さないなら何でもやれよ”と」
今でも中学時代の友人に会うと「おまえ何も変わってないな」と言われ、「それは誉め言葉。すべてが褒め言葉だと思っている」と言う。
格闘技界では、ユーチューバーで格闘家の朝倉未来が仕掛けた「ブレイキングダウン」が大人気で、エンターテインメント性を重要視する傾向がある。天心は、「エンターテインメントが増えすぎているんじゃないか、と感じていて、だから今こういうスタイルでいくことが大事じゃないかと感じている。時代の逆を行きたい」と考えている。