銀髪丸刈りで4.8有明デビュー戦会見に臨んだ那須川天心はボクシング界の革命児となれるのか…「はみだし者でなければ時代は変えられない」

　ボクシングは「ブレイキングダウン」とは対極にある権威と伝統を持った世界的プロスポ―ツだ。
　先日、目標だった100万人登録を達成したことでユーチューブも辞めた。
「今は必要ない。他の人がやればいい。時代の逆をいったほうがかっこいいじゃないですか」
　天心を突き動かす判断基準は「かっこいいか、かっこ悪いか」。それも若者に支持されている理由だろう。
　これまでは、年末のMー1グランプリで出演順を決めるくじ引き役を務めるなど、テレビのバラエティなどに引っ張りだこだったが、今後は「スタンスを変える」つもりで、テレビ出演やユーチューブへのゲスト参加も「特別感があり、出てプラスになるものだけ」に絞っていくという。
　例えとして親交のあるお笑いコンビ「霜降り明星」の粗品の名前が出たが、これまでのキックや天心の認知度を広めるために番組出演をしてきたフェイズからメッセージ性を重要視するフェイズに変える方針だというのである。
　だが、日本初の4団体統一王者となった井上尚弥やMLBエンゼルスの“二刀流”大谷翔平に代表されるように時代を変えるプロアスリートになるためには、世界を向こうに回して頂点に立つことが必須条件だ。
　世界のベルトについて天心は「最短でとか、すぐに世界チャンプと思っている人が多いと思うが、そこはあまり考えていない。自分の中でいけると思ったタイミングで挑戦するのかなと思う。（世界ベルトを）獲りたいが、ちゃんと整えてからでないと難しい。だけど希望はある」と慎重な姿勢を示した。だが、その第一歩となるデビュー戦でインパクトを残さねばならない。
　対戦相手の日本バンタム級4位の与那覇は簡単な相手ではない。
　沖縄尚学高時代に全国高校選抜大会のバンタム級で優勝、強豪の東洋大へ進んだアマエリートで2013年にプロデビューし、17戦12勝（8KO）4敗1分の戦績を持つ。
　与那覇本人が「特殊な動き、野性的な動きをする。どこから飛んでくるかわからないパンチだったり一発当たれば終わるボクシングをする」と会見で自己紹介したように、しっかりとガードを固めないトリッキーで好戦的なボクサー。パンチ力もある。
　昨年10月には天心と同じくサウスポーで天心のプロテストの相手を務めた南出仁（27、セレス）と日本バンタム級最強挑戦者決定戦を戦い、0－3判定負けを喫したが、後半はボディ攻撃や武器のひとつでもあるアッパーなどで南出を苦しめる場面も見せた。天心は「非常にアグレッシブで倒すし、お客さんを沸かせる気持ちもある」と与那覇をリスペクトしつつも「やるべきことはわかっている。やるしかない」とポジティブだ。
　しかも「プレッシャーはない」と断言した。
「やるだけなんで。勝とうが負けようが僕の人生。起きたことがすべてで、それまでどう向きあっていくかが大事。それをしっかりとやりたいし、送り出してくれる身内やチーム、ジムの信頼に応えたい。応えるだけではなくそれ以上を。僕はサプライズが好き。いい意味でサプライズをずっと起こしたい」
　4．8有明にサプライズは起きるのか。
　ボクサー天心は、今月末にも米国合宿へ飛ぶ。
（文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社）