井上拓真は4.8有明で兄が返上したWBAベルトを継承することができるのか…相手は山中慎介氏や亀田大毅氏と激戦を演じた40歳の“超ベテラン難敵”ソリス
ソリスは、その後、階級を上げ2016年3月に10度目の防衛戦となるWBC世界バンタム級王者の山中慎介に挑戦。2回に膝をつき、山中の圧勝かと思われたが、3回に右のストレートで2度のダウンを奪って“ゴッドレフト”を追い詰めた。結局、判定にまでもつれこむ大激戦となったが0―3で敗れ、2017年には、のちに井上尚弥が衝撃の1ラウンドTKOで葬ることになるWBA世界バンタム級王者のジェイミー・マクドネル(英国)と2度対戦したが、タイトル奪取に至らなかった。2020年2月にはWBA世界同級王座決定戦でスーパーバンタム級の3団体でベルトを獲得したギジェリモ・リゴンドー(キューバ)と対戦。ダウンを奪われ1-2判定で敗れたが、翌年に再起。現在5連勝中で、昨年11月にはルイス・カリージョ(コロンビア)に2ラウンドTKO勝利している。被弾を恐れず突っ込んでくるアグレッシブなファイトは40歳となっても健在だ。
ビデオメッセージで会見に登場したソリスは、静かな口調で「私の人生にやってきた新たな挑戦です。このチャンスを辛抱強く待ち続けていました。 このチャンスを全力で掴み取りにいきます。 拓真のことは知っています。兄も彼もグレートなボクサーです。 彼も万全の準備で挑んでほしい。 私は経験を積んだベテランです。恐れるものはありません」とコメントした。
拓真がソリスの試合で印象に残っているのは2度ダウンを奪った山中戦だという。
「負けはしたが山中さんの試合でダウンを取っている。パンチがありそうで油断できない選手だと思っている。でも、しっかりと集中すればもらうパンチじゃない。打たせずに打つを徹底していきたい」
警戒するパンチは、その右ストレート。ソリスは「今はスピードアップに取りかかっています」と明かしたが、強引なステップインから放ってくる右ストレート、あるいは打ち終わりを狙って合わせてくるカウンターの右ストレートが武器だ。そのパンチを封じるには、やはり距離感が重要で、拓真も「試合のポイントは自分の距離で戦い相手につきあわないこと」と考えている。また終始プレッシャーをかけてくるソリスに対して下がってしまうとペースを握られてしまう危険性がある。「何でどう止めるか」の戦略も練っておかねばならないだろう。
「技術は僕が優っている。圧倒的にパーフェクトに勝ちたい」
その拓真の宣言に嘘はない。この3年で進化した。
「全体的にレベルアップした。この3年間で日本人、ベテランと3試合できた。いい経験。負けてから、よりいっそう練習に集中するようになった。これまでボクシングに真剣に取り組んでいなかったわけではないが、よりいっそうボクシングを考えるようになった」
特に目を見張るのは、その距離感の進歩だ。兄と同じくバックステップを駆使できるようになり、ボディ打ちを含めたパンチのバリエーションや強弱のつけ方が抜群になった。