井上拓真は4.8有明で兄が返上したWBAベルトを継承することができるのか…相手は山中慎介氏や亀田大毅氏と激戦を演じた40歳の“超ベテラン難敵”ソリス
封印していた兄とのスパーリングも解禁されるようになり「パンチが当たらない」と前4団体統一王者が嘆くほどディフェンス能力が上がった。
兄の尚弥も「成長というより元々ポテンシャルが高い。それをどう生かすか。トレーニング内容的には僕と変わらない」と評価。
「世界王座?獲れるんじゃないですか」と太鼓判を押している。
拓真は公式会見で「僕もキャリア10年目。ベテラン同士の試合を見せたい」と語った。だが、まだ27歳。ソリスは文字通りベテランだが、拓真はベテランとは言えるのだろうか。実は拓真も「自分はまだ若手」と思っていたが、大橋会長から「もう10年やっているんだから立派なベテラン」との指摘を受けたという。大橋会長は、ソリスのキャリアなど恐れるに足らずという自信を拓真に植え付けようとしたのだろうが、実際、ベテランと思えるほどの成長を遂げているのだ。
兄がWBC、WBO世界スーパーバンタム級王者スティーブ・フルトン(米国)に挑むビッグバウトは5月に予定されており、兄弟の世界戦には、1か月のズレがある。兄の試合と同日興行でなくなったことも拓真にはプラスに働くだろう。2人の調整をまったく同じペースで進めることができるのはメリットだが、セコンドにつく真吾トレーナーら周囲のサポート体制から見ると2人の試合が同日でない方がより万全の準備を整えることができる。それでも兄は1か月前倒しで、今月末に予定している拓真の走り込みキャンプに合流する方向。八重樫東トレーナーが用意する“地獄のメニュー”を消化するには、兄弟揃った方が、互いに頑張れるからだ。
「もともとは兄が持っていたベルトのひとつ。しっかり取っていいバトンをつなげたい。僕が先に終わって尚のサポートもしっかりできますしね」
そして拓真は会見で改めて最終目標が兄が果たした4団体統一であることを明言している。
「最終的には4つを保持したい。いつまでに?具体的年数は気にしない。まずは1本、1本取りにいきたい」
4.8有明の目玉は那須川天心のデビュー戦である。拓真は今回の記者会見で同席したのが初対面。控室で言葉は交わす機会はなかった。
「キックの世界で実績を残してボクシングの世界に挑戦してくる姿勢は凄い。これからが楽しみだなと思う」
天心の挑戦にリスペクトの思いを伝えたが、井上家の誇りにかけて天心一人に話題を独占させるわけにはいかないのである。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)