今日開幕!30周年のJリーグは“2強時代”から大混戦の”戦国時代”へ
今シーズンで30周年を迎えるJリーグが今日17日、川崎フロンターレと横浜F・マリノスの2強による“金J”(等々力陸上競技場)で幕を開ける。昨シーズンはマリノスが3年ぶりにJ1を制し、3連覇を狙った川崎が最後まで食い下がったが、このオフに両チームの主力が相次いで退団。目立った補強も行わなかったなかで、主力のほぼ全員が残留した3位のサンフレッチェ広島、積極的な補強を成功させた5位のセレッソ大阪などが肉迫。優勝予想が難しい過去にない大混戦となりそうだ。
川崎F、横浜F・マリノスは主力が退団
30周年の節目を迎えるJ1戦線は、群雄割拠の戦国リーグとなりそうだ。
2017シーズン以降のJ1リーグ覇者は、2度の連覇をマークした川崎と2019シーズン、そして昨シーズンを制したマリノスで占められてきた。2強を形成する両チームは昨シーズンもデッドヒートを繰り広げ、最後はマリノスが勝ち点2差で美酒に酔った。
迎える2023シーズンは、マリノスはイギリス出身のケヴィン・マスカット監督が3年目の、川崎は鬼木達監督が7年目の指揮を執る。継続性と経験値の両面で依然としてライバル勢をリードしている両チームはこのオフ、主力の相次ぐ退団に直面した。
マリノスからは昨シーズンの最優秀選手賞(MVP)を獲得したDF岩田智輝がセルティックへ移籍。チーム最多の11ゴールをあげたFWレオ・セアラがセレッソ大阪へ、2019シーズンの優勝に貢献してMVPを獲得したFW仲川輝人がFC東京へ新天地を求めた。
さらに2月に入ると、昨シーズンにフルタイム出場を果たしたGK高丘陽平が、海外クラブへの移籍を前提とした交渉及び準備のために離脱。J1最少タイの35失点に貢献し、自身初のベストイレブンにも輝いた守護神が開幕直前になって不在になった。
川崎では2020シーズンからキャプテンを務め、森保ジャパンの一員としてW杯カタール大会にも出場したDF谷口彰悟がアル・ラーヤン(カタール)へ移籍。さらにプロ6年目にして自己最多の7ゴールをあげたFW知念慶が鹿島アントラーズへ移籍した。
対照的に補強面では、両チームとも目立ったものはなかった。
マリノスはDF上島拓巳(柏レイソル)に加えて、ヴィッセル神戸を退団し、フリーになっていたかつての守護神、36歳の飯倉大樹を9日に獲得した。天皇杯覇者のヴァンフォーレ甲府を2-1で下した11日のFUJIFILM SUPER CUPで、上島は故障者が相次ぐ右サイドバックでプレー。キーパーは4年目のオビ・パウエル・オビンナが務めていた。
川崎はDF大南拓磨(柏レイソル)とGK上福元直人(京都サンガF.C.)を獲得。さらに期限付き移籍先の徳島ヴォルティスとサガン鳥栖で、過去2シーズンに計15ゴールをあげたFW宮代大聖をレンタルバックさせた。しかし、最終ラインの要だった岩田が抜けたマリノスと同じく、精神的支柱でもあった谷口の穴はそう簡単には埋まらない。
「ここまでチャレンジな部分があったが、既存の選手たちの成長も含めて、そのなかでもいい準備ができたと思っている」
選手層の厚さでカバーしていくとマスカット監督が長丁場のシーズンを見すえれば、鬼木監督は川崎が置かれた立場を強調しながら決意をのぞかせている。
「自分たちはチャレンジャーなので、謙虚かつ強気に戦っていきたい。そのなかでJリーグを引っ張っていきたい、という思いもある」
必然的に総合力の観点では、マリノスも川崎もダウンせざるをえない。対照的にリーグ戦で3位に入り、クラブ史上初となるYBCルヴァンカップ制覇も達成。天皇杯でも準優勝とシーズンを通じて安定した成績を残した広島は、ルーキーながらチーム最多の9ゴールをマークしたFW満田誠、8ゴールで続いたMF森島司ら主力のほぼ全員が残留した。