なぜWBC&WBO王者のフルトンは井上尚弥との日本での世界戦を決断したのか…米メディアに語った真相とは?
「私には興奮させてくれるものが必要だった。ワクワク感だ。私を興奮させる試合は何もなかったが、これ(井上戦)で私は生き返るような気がするんだ。みんなは私を見て『彼は壁にぶつかっている』『なぜ王者が日本まで行くんだ』という感じだった。私はこの試合を2021年、2020年にも、呼び掛けていた。だから、私は『日本に行って(井上と)戦わなければならない』と言ったんだ」
21戦無敗のフルトンも、また井上と同様にモチベーションを高めてくれる好敵手を求めていたのである。
「私はトレーナーに『日本に行って彼と戦わなければならないだろう』と話していた。しかし、彼は理解していなかった。彼は『なぜそうする必要があるんだ?』という感じだった。『なぜそうするのか?』と聞かれて、私は『これはビッグファイトだ』と答えた。『信じてほしい。何を話しているか自分でも分かっている』とも言った。『今、我々がどこにいるのかを見てほしい』と」
トレーナー陣からは、初めての海外試合で、しかも井上のホームとなる日本での防衛戦に反対の意見が出たようだが、逆にフルトンが説得した。それほど、井上との試合には、ファイトマネーも含めて、魅力がつまっているのだろう。
またフルトンは井上戦の戦略についても語っている。
「この戦いで私は不規則な動きを見せる。自分のスタイル、レベルを見せる。彼に違いを見せつけるだろう。パワー(の違い)は関係ない。私のように、いろいろなパターンを織り交ぜて戦うことができる選手をこれまで井上は見たことがないと思う。私は、すべてのファイターが持つスタイルをすべて手にしているんだ」
フルトンはアウトボクシングもインファイトもできる。そして決して無理はせず勝利に最善の方法を選択できる非常にクレバーなボクサーである。それらのスキルをすべて駆使して井上を制圧すると宣言した。
一方の井上も、先日、WOWOWの番組収録を行った際に取材に対応。フルトン戦の交渉が煮詰まっていることを認めた上で「緊張感は過去で一番高いんじゃないかな。緊張感があるからこそ凄いモチベーションで練習ができるし、凄い試合を見せれるんじゃないか」「ここから(スーパーバンタム級)は勝ちに徹する。僕とフルトンが戦えば面白い試合になる。何が何でも勝つ。という気持ちでやる」などと語っていた。
互いに最高のモチベーションで激突するビッグバウトがいきなり井上のスーパーバンタム級の転級初戦で実現する。3月にもフルトンを日本に招いて正式発表を行う方向だという。