プロボクシング界は朝倉未来が仕掛ける人気沸騰の「ブレイキングダウン」を学ぶべきか?
「ブレイキングダウン」が視聴者をトリコにしている、これらの手法は、実は、個性豊かな若者が、元WBA世界ミドル級王者の竹原慎二氏らの厳しい指導を受けながら、ボクシングのプロテストへ挑戦する過程をテレビの番組にした「ガチンコ!」の「ファイトクラブ」がモデルになっているという。
元々はボクシングを題材したバラエティ番組企画が「ブレイキングダウン」の誕生につながっているのは、なんとも皮肉だ。
ではプロボクシング界も人気沸騰中の「ブレイキングダウン」から何かを学ぶべきなのか。現在ファウンダーとしてボクシング興行の新しいあり方を模索している元3階級制覇王者の亀田興毅氏は「学ぶべき点はある」と、その手法を参考にしている一人だ。
自らも現役時代は、過激なトラッシュトークやフライパン曲げなどのパフォーマンスを演じてきた。アンチも増えたが、驚異的な視聴率を稼いだことも事実。自らがプロモートしているボクシング興行「3150ファイト」では、出場選手に事前の記者会見などでの積極的な自己プロデュースを薦めている。プロとしての自己プロデュース能力を高める必要性があると説くのだ。またストーリー性を重視し、オーディション形式で選手を募集した企画「リングにかけろ!」をスタートするなど「ブレイキングダウン」の手法を取り入れている。だが、一方でリング上では「ブレイキングダウン」的なものは「いらない」という考えで、そこには一線を引く。
「リングに入ったら、そういう演出はいらない。伝統があり、世界4団体のしっかりとした組織があり、コミッションによって試合の安全、選手の健康が担保されているボクシングの競技としての正当性は守らねばならない。これは、他の格闘技にはないボクシングの素晴らしさだから」
「ブレイキングダウン」には批判の声も少なくない。
那須川天心とTHEMATCHで対戦した武尊が、昨秋、SNSで「ブレイキングダウン」の固有名詞こそ出さなかったが、「子供達が見る影響を考えて欲しい。何も分からない子供達からしたらあれも格闘技だと思ってしまうしそれがメディアで放送されることで正しいものだと感じる」と批判。
「このままだったら また格闘技界は表舞台から無くなる」と危機感を訴え、K-1からRIZINに戦いの舞台を移し、SNSでの過激なツイートで話題をふりまいている総合格闘家の平本蓮も、「6月に武尊さんと天心のあんな素晴らしい試合があったのにブレイキングダウンが格闘技として一般層が認識してしまうのは正直納得いきません」とリツィート。「ブレイキングダウン」が格闘界に及ぼしている問題点を指摘した。ろくにトレーニングも積んでいない一部の出場選手のお粗末な試合内容を暗に批判したものだ。
亀田氏が「ブレイキングダウン」の手法に「一線を引こう」としているのは、その点を曖昧にしたくないからだ。