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日本サッカー協会が誤審を認めた広島対札幌の問題シーンを投稿したJリーグのツイートが炎上騒ぎに(写真・アフロ)
日本サッカー協会が誤審を認めた広島対札幌の問題シーンを投稿したJリーグのツイートが炎上騒ぎに(写真・アフロ)

なぜJ開幕戦の広島対札幌戦で勝敗を左右する誤審が起きたのか…再試合は行われず試合はスコアレスドローで成立

 もうひとつの「テクニック」とは何を意味するのか。
 VARが用いる映像はDAZNのそれとほぼアングルやサイズだが、解像度が少し落ち、映像そのものも粗くなる。そのなかでVARも最初は、ゴールラインを越えている可能性が高い、という判断に至った。しかし、より確実性を求めた段階で自信が揺らいだという。
 広島-札幌戦を担当したVAR、AVAR(アシスタント・ビデオ・アシスタント・レフェリー)から、20日の段階で当時の状況を聴いている扇谷委員長は言う。
「VARにも当然不安がある。そこでボールのところをズームして見るんですが、そうするとボール自体がぼやけてしまう。そもそも非常にわかりにくかったこともり、最終的にはフィールド上の主審の判定を受け入れた、と。ファクトに関しては映像を止めて見てほしい、と言ってきましたが、映像をコマ送りにするよりもスローで見ていった方が実は明確になるケースもある。その意味で、そうしたことをわれわれが伝え切れていなかったことが問題だと考えています」
 誤審が認められた一戦は今後、どのように扱われるのか。
 Jリーグでは昨年8月、誤審があったJ2のモンテディオ山形-ファジアーノ岡山が、問題の場面が訪れた直後の前半11分からの再試合という形で実施されている。
 同4月に両チームが対戦した際に、山形のバックパスのコースがずれ、ゴールマウスに向かっていったところを山形のキーパーが阻止した。しかし、バックパスを手で扱ったとして岡山に間接フリーキックが与えられ、さらに山形のキーパーには一発退場が宣告された。
 その試合は岡山が勝利した。しかし、競技規則には当該シーンにおいて「間接フリーキックは与えられても、キーパーには懲戒の罰則は与えられない」と明記されている。主審が競技規則を誤って適用したとして、異例のケースとして試合途中から再開された。
 しかし、広島-札幌は再試合の対象にはならないと扇谷委員長は言う。
「今回は判定ミスであり、昨年のような競技規則の適用ミスではないのは明らかです」
 誤審は認められても試合はそのまま成立し、広島、札幌がともに勝ち点1を分け合う結果も変わらない。扇谷委員長による説明と謝罪をミヒャエル・スキッベ監督らとともに受けた、広島の仙田信吾代表取締役社長はクラブの公式HPで次のようなコメントを発表した。
「サンフレッチェ広島としては問題を蒸し返すことは避け、再発防止のために今後いっそうの審判員の練度向上を要望しました。勝ち点2を逃したという複雑な思いを払拭して、来たる26日のアルビレックス新潟戦へ、気持ちを新たにして立ち向かっていきます。加えてお願いです。審判員のみなさんは毎試合ベストを尽くしてくださっています。スポーツマン精神に則って、審判員への誹謗中傷など決してないように、お願いいたします」

 

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