誤審シーンを茶化した無神経な投稿放置でJリーグ公式SNSが”大炎上”…問題意識に欠けた残念な対応
今シーズンのJ1開幕戦で勝敗に関わる誤審があったと発表されてから一夜明けて、批判の矛先がJリーグへも向けられた。サンフレッチェ広島-北海道コンサドーレ札幌戦の映像がJリーグの公式ツイッター上で公開されているが、日本サッカー協会(JFA)が誤審を認める前に投稿していた問題のシーンを茶化したような無神経なつぶやきが、そのまま放置されて大炎上。さらにJリーグがツイートの掲載を継続することをわざわざ伝えたため、火に油を注ぐ形となった。文言の削除も修正もしない問題意識の低さが批判の的となっている。
「菅野の1mm…!?」にSNSで不快感
審判団を統括するJFAの審判委員会が、誤審を認める異例の緊急ブリーフィングを開いて謝罪した。同委員会の扇谷健司委員長(52)から直接頭を下げられた広島側も大人の対応を見せ、誤審問題を蒸し返すよりも再発防止を強く要望した。
しかし、肝心のJリーグが足並みをそろえられない。今回の誤審問題に対するリテラシーが低い、と言わざるをえない公式ツイッター(@J_League)上での対応が批判の対象となり、23日の午前中に投稿されたリプライを境に、火に油を注ぐ状態を招いてしまった。
Jリーグの公式ツイッターには、テーマに沿って編集された直近の公式戦のハイライト動画が続々と投稿される。18日にエディオンスタジアム広島で行われた広島と札幌の開幕戦ももちろん例外ではなく、21日までにトータルで7本の動画が公開された。
そのなかでスコアレスドローに終わってから数時間後の18日夕方に投稿されたのが札幌の守護神、菅野孝憲(38)のビッグセーブがまとめられた動画だった。
29秒間の動画に収められたパフォーマンスは4つ。その最後に広島のMF川村拓夢(23)が放ったヘディングシュートを、とっさに繰り出した左足でかき出した後半29分の場面が登場する。
VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)を経ても、ノーゴールの判定が変わらなかった状況を受けたからだろう。投稿内のつぶやきはこんな文言で始まっている。
「菅野の1mm…!?」
思い出されるのは昨年末のW杯カタール大会。スペイン代表とのグループステージ最終戦で、ボールがゴールラインを割る刹那でクロスを上げ、日本代表の逆転ゴールをアシストした「三笘の1mm」をほうふつとさせる菅野のプレーだったとツイートは訴えたのだろう。
しかし、22日午後になって状況が一変した。
JFAの審判委員会が緊急ブリーフィングを開いて誤審を認めた。ボールがゴールライン上にほんのわずかながら残っていたのではなく、完全に越えていたという判断に至った扇谷委員長は「今回の判定は、あってはならないものだと思っています」と明言。審判団、特に映像チェックを介してゴールだったと主審へ進言すべきだったVARの非を認めて謝罪した。
前日の21日の段階で同委員長の訪問を受け、直接謝罪された広島の仙田信吾代表取締役社長も公式HPでコメントを発表。チームの今後へ「勝ち点2を逃したという複雑な思いを払拭して、気持ちを新たにして立ち向かっていきます」と努めて前向きな言葉を綴った。
ただ、Jリーグ公式ツイッターの投稿に変化は見られなかった。
判定そのものが微妙だった影響もあって、18日のツイートに対しては「疑惑の判定をJリーグが茶化すなんて…(中略)三笘選手の時のようにちゃんとした証拠写真を出してから、1mmって言葉使ってほしい」に代表される厳しい意見が寄せられていた。
一転して誤審が発表されてからは、ツイート内の事実と反する部分となった「菅野の1mm…!?」に対して不快や不謹慎、あるいは無神経といった批判が集中した。それでも削除や修正には応じなかった公式ツイッター側に、一夜明けた23日の午前中に動きがあった。