なぜ浦和レッズは“ドン底”開幕連敗を喫したのか…「2試合で勝ち点はゼロ。かなり悪い状況だと思っている」
今シーズンに加わった新戦力は6人。しかし、始動当初から不安視された攻撃陣は、FWキャスパー・ユンカー(28、名古屋グランパス)やMF江坂任(30、蔚山現代)、MF松尾佑介(25、ウェステルロー)が抜けた穴を埋められないまま開幕を迎えた。
浦和の土田尚史スポーツダイレクター(SD、55)は1月の新体制発表会見で、さらなる補強に対して「ウインドーが開いている限り行っていく、とお答えさせてください」と語っていた。しかし、その後に松尾がベルギーへ新天地を求め、対照的に補強はノルウェー出身の左利きのセンターバック、マリウス・ホイブラーテン(28、ボーデグリムト)にとどまっている。
獲得に動いていたギリシャ代表FWギオルゴス・ギアクマキス(28)は結局、セルティックからアメリカMLSのアトランタ・ユナイテッドへ移籍した。別の外国人FWの名前も報じられているが、現段階で補強を含めたチーム編成は失敗していると言わざるをえない。
失敗の象徴が[4-2-3-1]システムの1トップとなる。
FC東京戦とマリノス戦では、来日2シーズン目のブライアン・リンセン(32)が先発した。しかし、加入直後の昨年7月に右太ももを痛め、長期離脱を余儀なくされたオランダ出身のストライカーは、ハイプレスが求められるスコルジャ監督の戦術にフィットしていない。FC東京戦で後半24分に、マリノス戦ではハーフタイムにベンチへと下がっている。
代わりに投入されたFW興梠慎三(36)のプレーが、逆に浦和の攻撃を活性化させた。前線でボールを収めて起点になり、味方のためにスペースを作り、ここぞという場面で相手ゴール前に顔を出す。北海道コンサドーレ札幌への期限付き移籍から復帰したJリーグ歴代2位、現役選手では最多となる通算163ゴールをあげているストライカーは随所で違いを生み出した。
スコルジャ監督も「慎三のスキルに関してはもちろん疑う余地がない」とその能力を認めながら、ベテランゆえに起用法が限定されてくる苦悩も吐露している。
「慎三の場合は何分プレーできるのかがわからない。試合の流れや強度を踏まえて、スタートから起用した方がいいのか、あるいは後半から入った方がいいのかを考えたなかで、マリノスのような素晴らしいチームに対して速いプレスを仕掛けようしたときにそれが消耗につながるので、よりスペースが空いてくる後半に、慎三を使おうという考え方だった」
しかし、流れは変わったものの、興梠自身のシュートはゼロ。チーム全体でも7本に終わった。新監督が求める新しい戦い方が細部まで浸透していない現状が浮き彫りになるなかで、後半44分にはカウンターから勝負をダメ押しの追加点を奪われてしまった。