• HOME
  • 記事
  • 野球
  • 藤浪晋太郎が大谷翔平との同級生対決で魅せた“魔球”の正体とは…フォーシームにMLBで通用する特殊な軌道があることが判明「打者がホップしていると錯覚する」
アスレチックスの藤浪晋太郎がOP戦2度目の登板を3回1失点にまとめて初勝利。指揮官や捕手は進歩した制球力を称えた(写真は資料:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)
アスレチックスの藤浪晋太郎がOP戦2度目の登板を3回1失点にまとめて初勝利。指揮官や捕手は進歩した制球力を称えた(写真は資料:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

藤浪晋太郎が大谷翔平との同級生対決で魅せた“魔球”の正体とは…フォーシームにMLBで通用する特殊な軌道があることが判明「打者がホップしていると錯覚する」

 

オープン戦とはいえ、阪神からポスティングシステムを利用してアスレチックスへ移籍した藤浪晋太郎(28)のデビュー戦(現地時間2月28日・アリゾナ州メサ)は、多くの日本人ファンで客席が溢れた。
 相手マウンドにはエンゼルスの大谷翔平(28)がいて、それが決まった2月23日、藤浪は「静かにやりたいのはもちろんですけど、うるさくなるのは間違いないので、仕方がない」と苦笑。実際、試合前に並んで右翼のブルペンでウォーミングアップを始めると、ブルペン脇ではファンの多くがカメラを構えた。予想通り騒々しくなったが、藤浪自身は冷静だった。
「あぁ(カメラに)抜かれてんやろうな」
 立ち上がりは、その落ち着いたままの状態で入り、先頭のデビッド・フレッチャーをスプリットで三振に仕留めると、2番のルイス・レンヒーフォにはピッチャー強襲の内野安打を許したが、難なく後続を断って無失点。 
 本人も「すんなりいけた」と言う通り、上々のスタートだった。
 2回は、「もっともっと良くしてやろうという欲をかいた」ことから力が入り、先頭から3連続四球でピンチを招いたが、三振と併殺でしのいだ。
 もっともあのときも、マウンド上で頭が白くなったり、冷静さを失ったわけではなかった。
「あそこで押し出しとかしてたら、後で許されへんやろなと思いながら投げてました」
 さて、3四球のきっかけは、先頭のジョー・アデルに対して投げた2−2からの5球目の真っ直ぐ。高めに外れたが、この球は今後、藤浪を支えていくのかもしれない。
 この日はスプリットが鋭く、初回に2つの空振り三振を奪ったが、藤浪の高めの真っすぐは、特殊な軌道、というこちらでの評価。本人が慣れてくれば、その球こそ、空振りが欲しいときに投げる球になるかもしれないのだ。

 藤浪が初めてブルペンに入った2月16日の練習後、ブルペンコーチのマイク・マッカーシーがこんな話をした。
「フジはリリースポイントが低くエクステンションも前なので、アプローチアングルが小さいのではないか」
 マッカーシーコーチは、18年にツインズ傘下3Aローチェスターで投手コーチを務め、昨年はパドレス傘下の3Aエルパソの投手コーチだった。今年からアスレチックスのブルペンコーチとなったが、実質的にはアナリストに近い。
 キャンプ地のブルペンには十分な計測機器がないため、VAA(Vertical Approach Angle)の値を出せなかったが、「おそらく間違いない。だとしたら、高めの球は打者がホップしていると錯覚するはず」と説明した。

 3度目のブルペンでは打席にも立ち、それを確信したよう。

 

関連記事一覧