三笘薫がW杯“MITOMAの1ミリ”をほうふつさせるスライディング弾で日本人のプレミアシーズン最多得点記録「6」に並ぶ
公式戦で3試合連続ゴールを決めた直後から、対戦相手から対策を練られ始めた。対面の右サイドバックを含めた複数の選手で縦へ突破するコースをふさぎ、意図的に中央へと誘う。ブライトンの公式HP上に随時掲載されるインタビューで、三笘もこう語っていた。
「僕に対して直接ボールを奪いに来る選手は、少なくなったかもしれない」
三笘を先発に定着させ、全幅の信頼を置いてきたロベルト・デ・ゼルビ監督(43)は、1対1における三笘の無双ぶりを認めたうえで「もっとピッチの内側に入って、チームメイトと一緒にプレーしてほしい」と明言。さらなる成長を期して、新たな要望を出していた。
三笘対策が講じられた11日のクリスタル・パレス戦は引き分け、18日のフラム戦では今年に入ってからの初黒星を喫した。迎えた28日のストーク・シティとのFAカップ5回戦。中央寄りにポジションを取った三笘は味方のスルーパスに抜け出し、ワンタッチで中央へ折り返して前半30分のファーガソンの決勝ゴールをアシスト。指揮官の期待にさっそく応えた。
そして、ウェストハム戦を直前に控え、再びブライトンの公式HP上に掲載されたインタビュー。三笘は今後の戦いを見すえて、決意を新たにしている。
「シーズン後半に向けて、改善すべき点がまだまだあると思っています。プレミアリーグが一番大事なので、次のウェストハム戦にも勝って勢いをつけたい。ストーク・シティ戦でいい結果を出せたので、ここからまたスピードを上げていきたいですね」
ウェストハム戦ではゴールシーン以外にも、相手ペナルティーエリア内で大仕事をした。MFアレクシス・マクアリスター(24)がPKを決め、両チームともに無得点の均衡を破った前半18分の場面を巻き戻していくと、相手の意表を突く三笘のプレーに行き着く。
右サイドからマーチが送ったサイドチェンジのパス。バックステップを踏みながらトラップする体勢に入った三笘へ、ジョンソンも間合いを詰めてくる。次の瞬間、三笘はファーストタッチでボールを意図的に大きく、しかもジョンソンの背後へ送った。
すかさず相手ゴール方向へ向けて加速し、瞬く間にジョンソンを置き去りにする。さらにペナルティーエリア内へ侵入した直後に、慌てて止めにきたFWジャロッド・ボーウェン(26)の気配を察知。巧みなコース取りで背後から倒されてファウルを獲得した。
前半はPKの1ゴールだけで折り返したが、ボール保持率が70%近くに達していたブライトンは後半も試合を支配。三笘の一発を含めて3ゴールを追加した。フラム戦後に審判団を罵倒したとして、プレミアリーグから1試合のベンチ入り停止処分を受け、スタンドからスマホを介して指示を伝えていたデ・ゼルビ監督は、試合後にこんな言葉を残している。
「前半もよかったが、後半はさらに素晴らしかった」