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J3アスルクラロ沼津の監督に就任した元日本代表FW中山雅史の初陣は黒星スタートとなった
J3アスルクラロ沼津の監督に就任した元日本代表FW中山雅史の初陣は黒星スタートとなった

なぜ“ゴン”中山雅史のJ3沼津監督の初陣は黒星スタートとなったのか…「まだまだ未熟」

 サッカーでは選手たちがピッチ上で、自立してプレーする状況が何よりも求められる。その意味で中山監督は新体制を始動させたときから、ハードワークを体だけでなく頭にも求めた。指揮官が放つ存在感を「強く、熱い言葉で背中を押してくれるモチベーターでもある」と表現する菅井は、2017シーズンから所属してきた沼津で生じている変化をこう語る。
「まずは戦うこと、と言われています。妥協もそうですけど、絶対に隙を出すな、と。そのうえで体だけじゃなくて頭も休ませないサッカーを突き詰めていきたい」
 昨シーズンのJ3リーグ戦で、沼津は18チーム中で15位に終わった。深刻だったのは34試合における総得点で、リーグでワースト2位タイの「27」だった。中山監督も「シュート数そのものも少ないし、もっと言えば枠内へ飛んだシュート数も少ない」と語っていた。
 シュート総数の「262」もリーグワースト3位。昨年9月のガイナーレ鳥取戦ではわずか1本のシュートに終わり、試合も0-3で敗れた惨状を考えれば、すべて枠内にシュートを見舞うも阻止された前出の5連発も含めて、ポジティブな変化が伝わってくる。
 監督として初めて臨んだ、おそらくサッカー人生における思い出として残る一戦を、中山氏は「何だかふわふわした感じがしていました」と表現している。
「ベンチが日陰で非常に寒かったというのもあって、試合中もずっと落ち着かなかったというか。武者震いで高ぶっていたからなのか。それとも寒かったからなのか。自分のなかで混同したまま過ごした意味では、まだまだ僕も未熟なのかなと思いました」
 12日の次節はカターレ富山をホームの愛鷹広域公園多目的競技場に迎える。開幕戦で黒星を喫した反省に立った上で、中山監督は「リスク管理」をテーマのひとつに掲げた。
「攻め込んだときに、どのようにリスク管理をしていくのか。チームとして攻守一体を掲げている以上は、攻撃しているときに守備のことも考えなければいけない。それらをより高いレベルで、より高い強度で展開していくのがチームのテーマなので、これから1週間、選手たちとともに高めていきたいし、今シーズンはこういう戦いをするとファン・サポーターに示したい」
 敗因を問われれば後半から3バックにスイッチし、戦い方を変えてきた讃岐の変幻自在ぶりよりも自分たちへ矢印を向けたいと中山監督は力を込めた。心身両面のハードワークを介して甘さや隙をすべて取り除き、可変システムを介してボール支配率と相手へかけるプレッシャーを一気に高める。現在進行形で攻撃的なチームへ変わりつつある沼津をホームで披露する。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

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