米メディアが大谷翔平のWBC版“二刀流”を絶賛…「汗をかいた?」「世界中から新しいファンを惹きつける超人的エンターテイナー」
侍ジャパンがWBCで白星発進を飾った。中国との1次ラウンドの初戦が9日に東京ドームで行われ、日本は“リアル二刀流”で先発した大谷翔平(28、エンゼルス)が投げては4回を1安打、5奪三振で無失点に封じ、3番を務めた打者では4回の2点タイムリー二塁打を含むマルチ安打をマーク。8-1の勝利に貢献した大谷のWBCデビュー戦を、米メディアは「いつもと同じで2度美味しい」と表現。さらに「野球における完璧な武器であると再び認識させた」と称賛した。
「大谷が示した圧倒的な存在感に驚きはない」
アメリカのメディアにとっては、もう見慣れた光景だったのだろう。
投げては中国打線を4回わずか1安打、無四死球、5奪三振で無失点に封じ、打っては点差を「3」に広げる4回の2点タイムリー二塁打を含むマルチ安打をマーク。球数制限があるなかで、49球で降板した後は“大谷ルール”のもとでDHとしてフル出場した大谷を、MLB公式サイトは「WBCデビュー戦はいつもと同じで2度美味しい」というタイトルとともに速報した。
記事は冒頭で「大谷はマウンド上でも打席でも圧倒的な存在感を示したが、ここに驚きはない」と描写。さらに2017年オフのエンゼルス移籍後で、母国・日本では初めて披露された“リアル二刀流”に魅了され、沸き立った日本のファンの様子も伝えている。
「東京ドームを埋めた大観客のすべての目、すべてのスマートフォン、すべての注目は一人の男に集中していた。日本の16番、大谷だ。彼の名前がアナウンスされたとき、耳をつんざくような歓声が上がった。そして、彼がマウンドに立つと声援はさらに大きくなり、最初の一球を投げる直前には一転して静寂に包まれた。そして、1球目を投げ終えると、再び大歓声が響き渡った。それが外角低目に外れるボールだったことは、ほとんど関係なかったようだ」
初球の球速は157km。直球の最速は3度マークした160kmで、そのたびに東京ドーム内のどよめきを誘った。ただ、49球のうち直球は20球にとどめ、カウントを取れ、勝負球にもなるスライダーを26球と多投した。残りはツーシームが2、スプリットが1だった。
特に4回一死から2番のヤン・ジンに、外角の159kmのストレートをレフト前へ流し打たれた後は、3番の元ソフトバンク、真砂勇介を5球連続のスライダー攻めで空振り三振。4番のチェン・チェンも直球で追い込むと、3球勝負のスライダーで見逃し三振に仕留めた。
余力を残したような投球を、MLB公式サイトは次のように総括した。
「汗をかいたようには見えなかった」
複数の動画を埋め込みながら試合を速報したFox Newsの公式サイトも「最初の数回は、ランナーを出塁させないように役割を果たした」と大谷のピッチングを評価。そのうえで初の日系人選手として侍ジャパン入りし、1番・センターで先発したラーズ・ヌートバー(25、カージナルス)が3回一死無走者の場面で演じたファインプレーを絶賛している。
カウント2-2から8番のルオ・ジンジュンへ投じた5球目。外角低目の137kmのスライダーをバットの先でとらえた打球はセンター前へ。ポトリと落ちる寸前でスライディングキャッチしたのが、初回に初球をいきなり中前へ運び、2番・近藤健介(29、ソフトバンク)、大谷、そして4番・村上宗隆(23、ヤクルト)の連続四球で生還したヌートバーだった。
「そんな大谷の活躍を支えたのがディフェンス陣の活躍だった。ラーズ・ヌートバーのダイビングキャッチは、4回一死まで中国をパーフェクトに抑えるのに貢献した」
アメリカ最古の歴史を持つ1886年創業のスポーツ専門出版社The Sporting Newsは、大谷の価値をあらためて実感するように、タイトルに「WBC初先発の大谷翔平が、野球における完璧な武器であると再び認識させた」と題した記事を速報で掲載した。
「普通の投手なら4回1安打5奪三振のシャットアウトは熱狂的なハイタッチに値する。そして普通の打者なら打球速度110マイル(約177km)の二塁打を含めた2本のヒットを放ち、さらに四球で2度出塁すればかなりいい1日となる。しかし、大谷翔平は普通の投手でも普通の打者でもない。前人未到の総合的なエリート能力を併せ持つ稀有な野球人だ」