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開幕カードの横浜DeNAに先発した阪神の西勇輝は5回を5失点。岡田監督は助言を与えた。
開幕カードの横浜DeNAに先発した阪神の西勇輝は5回を5失点。岡田監督は助言を与えた。

阪神の岡田監督は開幕カードの横浜DeNAに5失点の西勇輝に何を助言したのか…MLB最先端データ野球の先を行く“オカダの教え”

 西勇輝のように内外の出し入れで勝負するタイプの投手は、インサイドの使い方が生命線だ。そこは本番になれば攻めていくだろうが、「高めのボールを使え!」の助言には、きっと「ハっ」とさせられただろう。
 実は、“フライボール革命”真っ盛りのMLBでは、高めのフォーシームの重要性が見直されている。打球にバレルゾーンという角度をつけるために、打者は、トラックマンデータを使って飛距離を出すために最適なアッパー気味のスイング軌道を仕掛けてくるため、高めの回転のいいフォーシームが有効なのだ。しかも、投手はあえて高めに角度のないフォーシームを投じることが空振り率を高めるとされている。
 おりしも、この日、横浜DeNAが3年前にサイヤング賞を受賞、5年連続で2桁勝利したメジャーの超大物トレバー・バウアーの獲得を発表したが、このバウアーこそ、シアトルのトレーニング施設「ドライブライン」に通い、最新のデータとテクノロジーを駆使して大成功した第一人者。全米でベストセラーとなった「アメリカン・ベースボール革命 データ・テクノロジーが野球の常識を変える」では、ほぼ主人公として描かれている。岡田監督の西勇輝への助言は、最先端のデータ野球のトレンドだったのだ。
 岡田監督は、そんなトレンドに関心はない。沖縄キャンプでは、ブルペンに簡易式のデータ測定機器が持ち込まれ、投手は、回転数や回転軸、角度などを計測、チェックしながら投球していたが、岡田監督は「あんなん初めてみたわ。ようわからん」と苦笑いしていた。
 だが、岡田監督は、前監督時代から、メジャーの最先端を独自の感性と洞察力で先取りしていた。優勝した2005年の犠打数はリーグ4位。当時は、アスレチックスが持ち込んだセイバーメトリクス理論が全米で流行しはじめた時代で、バントの得点率の低さが、データで証明されていた。優勝した際、「マネーボール」理論を岡田監督が実戦していたと言われた。だが、岡田監督は「メジャーのセイバーメトリクス?なんか、それに合致しているらしいな。でも、そんなんしらんよ。バントでひとつアウトをもらうと楽なんよ。相手が楽なことする必要はないやん」と否定していた。
 またウィリアムス、藤川、久保田で7、8、9回を締める「JFK」を確立させたが、その発想のルーツは「なんでラッキー7というか、そこで一番点が取られるからや。その7回をどう抑えるかが最も大事」という7回最重要説から来たものだった。これも当時のメジャーで実行されていたデータ野球。岡田監督は、それを知らず自らの卓越した野球観と感性で最先端を走っていたのである。

 

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