阪神の岡田監督は開幕カードの横浜DeNAに5失点の西勇輝に何を助言したのか…MLB最先端データ野球の先を行く“オカダの教え”
横浜DeNAは、球界屈指のデータ集団を持っており、それを守備シフトなどに積極的に利用しているチームだ。阪神も、その分野の研究、導入に取り組んでいて、今春には京大野球部のアナリストを担当していた人物の入社も決まっているが、データは、結局、どう使うかが重要。ダルビッシュもイチローもメジャーの行き過ぎたデータ主義に否定的な意見を出しているが、勝負の勝ち負けは、データ野球の先にある。
岡田監督が見ているのはそこなのだ。昨年は横浜DeNAに9勝16敗と大きく負け越したが、最先端のデータ野球のもうひとつ先を行く岡田野球が、三浦ベイスターズを混乱させるかもしれない。
「あと2回、調整(登板)してシーズンに向かえばええ。何も心配してへんよ」
岡田監督が西勇輝に期待しているのは、「10勝10敗のローテーション投手」である。
もちろん貯金を作ってもらいたいのが本音だが、それより西勇輝が、年間を通じて、ゲームを作り、怪我や不調でローテーを外れることなく、150イニング以上の投球回を投げ切ることに期待し計算している。
「10勝10敗の投手って絶対必要なんよ」
昨季は、青柳がチームトップの162イニング3分の1、西勇輝が148イニング3分の1,伊藤が136イニング3分の2を投げたのがチームのトップ3。昨年は9勝9敗だった西勇輝が「10勝10敗で150イニング」をクリアしてくれることが、アレを達成するための条件でもあるのだ。だからこそ、この時期に、あえて西勇輝に、データ野球を超越した“岡田の教え”を注入したのである。
オリックス監督時代に岡田監督は、当時オリックスで若手のエースとして頭角を現しつつあった西勇輝に、あと1人で勝利投手という4回3分の2で3度降板を命じた。そのままブルペンに直行させて、試合が終わるまで投げさせたこともあった。あえて、厳しく接したのは、10年後のエースの姿を見据えていたからこそ。2人のユニホームが共に縦ジマに変わり、11年後に再会するのも、どこか運命的でもある。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)