侍ジャパンが準決勝進出を決めた5試合で見せた3つのポジティブ要素…マイアミでメキシコorプエルトリコに勝つためのカギとなる
不振の村上を5番に下げ吉田を4番に据えた打線改造も機能した。
7回に吉田が今大会第1号となる滞空時間の長い一発をライトスタンドに運び、続く村上、岡本の連続二塁打で1点を追加して試合を決定的にした。いずれも初球。橋上氏は、村上の復調には、2つの理由が考えられるという。
「4番を外したというより目の前で3番を打つ大谷の打席と離したことが大きかったと思う。あのスイングが残像として残ると、どうしても自分のバッティングを見失う。今日は、かなりタイミングの取り方が安定していた。加えてヌートバーの影響が大きい。不振の村上はより慎重になり、ファーストストライクからバットを振りにいけていなかったが、臆することなく初球から積極的に振っていくヌートバーの姿に刺激されたと思う」
投手リレーも豪華だった。
大谷は、立ち上がりから1球、1球、「うわッ」「おりゃ」と声を発しながらの全力投球。その影響からか、5回にはスタミナが切れて制球を乱して2点を失い、なお二死一、三塁で日ハムの伊藤大海にバトンを渡したが、71球4安打5奪三振2失点の投球内容を橋上氏は、「中国戦の初戦よりさらに数段階レベルアップしていた」と言う。
「実質、3度目の実戦登板で、調整度合いがまたひとつ上がっていた。2回にロイヤルズのパスカンティーノを三振に斬ってとった164キロに象徴されるように、軸となる真っ直ぐに手応えもあったのだろう。二まわり目からは真っすぐとスプリットの縦の配球に変化させていた。ダルビッシュも同じく韓国戦に比べて見違えるほどよくなっていた。それと目を引いたのは、後を受けた伊藤、今永、大勢のピッチング。1次ラウンド、準々決勝を通じて、投げるたびに日本の投手陣の公式球への対応力がアップしている。私は裏で公式球が滑らないようにするための秘策のアドバイスがメジャーを知り尽くしているダルビッシュからあったと見ているのだが…」
そのピンチで伊藤は4番打者のブレッド・サリバンをストレートで押し込んでショートフライに打ち取り、6回は横浜DeNAの今永昇太が2つの三振を含む三者凡退に抑えた。そしてパドレスのダルビッシュ有が、7、8回を引き継ぐ豪華リレー。ダルビッシュは、手すりに当たってスタンドインしたように見えた“疑惑のアーチ”で1失点したが、安定した投球内容で、9回を巨人の大勢が締めてマイアミ進出を決めた。