なぜプレミアでゴール量産の三笘薫は第二次森保J初陣で不発に終わったのか…城彰二氏の分析「周囲の連動欠如と起点FWの不在」
第二次森保ジャパンの初陣となるウルグアイ戦はドロー発進となった。ウルグアイのチームコンディションは良くは見えなかったが、この試合に勝ち負けは関係なく、2026年のW杯でベスト8の壁を超えるために新しい形をいかに示すかが重要な試合だと思って見ていた。
森保監督は、前の6人をカタールW杯組で固め、DFラインには、吉田、長友、酒井らのベテランを招集せず伊藤、瀬古、板倉、菅原というフレッシュな顔ぶれを並べ“融合”をテーマにしたメンバーで「4-2-3-1」のフォーメーションで臨んだ。森保監督は“融合”に手応えを感じていたそうだが、私もその形は見えたと評価した。
その中で収穫と課題がハッキリと浮かび上がった。
課題のひとつは、W杯後にプレミアリーグでゴールを量産、さらに進化を遂げている三笘の能力を生かせずゴールシーンを演出できなかったことだろう。国立に雨が降りピッチはスリッピーなコンディションになっていたにもかかわらず三笘は、開始直後から長い距離をドリブルで運ぶなど繊細なボールのコントロール力も含め、縦への突破力はズバ抜けていた。しかし、周りが三笘をサポートできずに孤立してしまう。後半8分にカウンターから三笘が内側に入り、浅野につなげてシュートまで持ち込んだ場面があったが、連動したのは、この一度くらいだった。
しかも、プレミアでの戦い同様にウルグアイも三笘を徹底マークして縦を消しに来た。ブライトンでの三笘は、逆に自らが囮になったり、中に入って起点になり、周りを生かすアシスト役として得点機を演出しているが、日本代表では周りが動かない。
鎌田、浅野らとの距離感が悪いので三笘に絡めないし、左サイドバックの伊藤とのコンビネーションもチグハグだった。左利きの伊藤は、外へ開かず内側にボールを置くので、どうしてもボールを下げることが優先となり、カタールW杯前に批判されることになったバックパスも目立ち、前を向いてオーバーラップするシーンをあまり作れなかった。
そして決定的な問題が中央でポストプレーのできるFWの欠如。これは後で詳しく説明するが遅攻からのビルドアップがうまくいかない問題とも関連している。
先発した浅野は裏を狙うタイプ。上田はポストプレーができるので、後半15分に伊東、上田が2枚替えで、投入された直後に2人のワンツーで崩して、結果的にVAR判定で覆ったが、PKを奪いかけた。中央で起点を作れる選手がいれば、三笘にサイドでボールを預けて“後はなんとかして下さい”という現状の問題は解決できる。三笘がブライトンで輝いているのはチームにポストプレーのできる選手がいるためだ。今後は、三笘と様々な選手のパターンの組み合わせを試す必要があるだろう。またポストプレーのできるFWを探しておかねばならない。