なぜ4月デビュー予定の横浜DeNA超大物バウアーは“WBC優勝戦士”村上との対戦を熱望したのか…“魔球”スプリットチェンジを引っ下げて日本上陸
そしてバウアーは自ら「4月中には準備できる」と日本デビューの時期を明かした。関係者によると、体は出来上がっていて、ファームで2試合投げれば1軍デビューできる状態にあるという。
具体的な目標としては「200奪三振と平均球速96マイル(約154キロ)」を掲げた。背番号「96」は、その目標球速にちなんだもの。
2021年の平均球速が93.9マイル(約150キロ)だったので32歳にして4キロアップに挑戦し、その手ごたえがあるわけだ。
試合数、イニング数の目標は設定しておらず「チームの優勝のためにできるだけ投げたい」とも言うが、200奪三振を達成するには、2021年のペースでいけば。1イニングに1.2個を奪うので、最低でも約167イニングは投げるつもりでいるのかもしれない。そうなれば23、24試合は投げる。横浜DeNAの強力打線がバックにつけば計算上は20勝も可能。ちなみにバウアーのキャリア最多のシーズン奪三振は2019年の253個だ。
またバウアーは、かつて中3日登板がベストコンディションにつながると主張していたことがあった。
横浜DeNAでも中3日に挑戦するのか?と聞くと「それは監督が決めること。僕は監督の意向に沿うだけさ」と優等生発言。ただ優勝のかかる勝負どころでは、常識外れのフル回転が見れるかもしれない。
レッズで泣かず飛ばずだったバウアーは、シアトルにある動作解析などのデータを活用するトレーニング施設「ドライブライン」で蘇った投手として知られる。米でベストセラ―となった「アメリカンベースボール革命:データ・テクノロジーが野球の常識を変える」では、バウアーの成功例が、ほぼ主人公として描かれている。
この日の会見でも「技術、スキル、能力を磨く、野球を科学するということに情熱をかけて行ってきた。日本でもやりたい。チームメイトと教え合い、学び合いたい」と語った。横浜DeNAは、2017年にデータ解析チームの「R&Dグループ」を立ち上げ、データ野球の最先端をいく球団。WBCの決勝に先発した今永昇太ら“ドライブライン信者“が多く、2019年にバウアーが来日した際にも交流を持ちアドバイスを得た。データ野球は、回転数や回転軸、リリースの位置や角度の数字をどう実戦に落とし込むかが難解な分野で、サイヤング賞投手は、まさに生きた教材。戦力としてはもちろんバウアー効果にも期待が持てる。ダルビッシュがWBCで若手にすべてを伝授してチームをスキルと共にひとつにまとめたような効果だ。
そのバウアーは、侍ジャパンのWBC優勝を「素晴らしい戦いをしたよね。5大会のうち3大会で優勝。国を背負い、野球の価値を高めた」とリスペクトした上で「あまり(WBCの出場した)投手への意識はないが、(同)バッターは意識する。ハイレベルが揃っている。すべてのバッターとレベルの高い戦いをしたい」とライバル心をちらつかせ「強いて名前をあげるとすれば村上との対戦がが楽しみだ」とヤクルトの4番打者の名前を挙げた。村上は、米国マイアミに場所を移した準決勝のメキシコ戦で逆転サヨナラ二塁打、決勝の米国戦でも同点に追いつく特大の一発を放っており、印象が深かったのかもしれない。