「世界一」侍ジャパン戦士を待ち受ける“WBC後遺症”の壁…過去にあのイチローでさえ重圧影響の“胃潰瘍”で開幕カード欠場
西武の源田壮亮は、韓国戦で帰塁した際に右手の小指を骨折したが、離脱せずにテーピングで固めたまま、準々決勝、準決勝、決勝とフル出場した。短期決戦ゆえに無理もきいたが、長いシーズンを考えると不安は残る。
「あのイチローでさえ2009年に優勝した後には体に異常が発生して開幕戦から、しばらく欠場しましたからね。韓国との決勝で劇的な決勝タイムリーを放ちましたが、それまでが大不振で、かなりのストレスとプレッシャーを抱えて戦っていましたからね」と橋上氏。
WBCで連覇を果たした2009年には、イチローでさえ「胃の潰瘍性出血」で、メジャー初の故障者リスト入りして開幕カードを欠場した。
ベスト4に終わった2013年大会では、1次ラウンドの台湾戦で9回二死から同点タイムリーを放つなどの大活躍で大会ベストナインにも選ばれた当時、中日の井端弘和が、シーズンに突入すると大不振に陥り、6月にはスタメン落ち、結局、打率.236、1本塁打に終わり、オフには、GMに落合博満氏が就任したこともあって、事実上の戦力外とも言える年俸の提示を受けて巨人に移籍した。井端は、開幕カードを終えた後に、蓄積された披露が一気に出て、食事が喉を通らなくなり、体重が一気に3キロも落ちたという。当時「めまいがと吐き気で、平衡感覚がなくなった。極度のプレッシャーと、厳しい日程と時差などで知らぬまに肉体がダメージを受けていたと思う」という話をしていた。
同じくベスト4止まりだった2017年大会の後には、千葉ロッテの石川歩が大不振に陥った。前年度は14勝5敗、防御率2.16の成績で日本代表に選ばれ、重要な1次ラウンドのキューバ戦、2次ラウンドのオランダ戦に先発登板したが、レギュラーシーズンでは、開幕から結果が出ずに2軍落ち、この年は16試合の登板で3勝11敗、防御率5.09の不本意な成績に終わった。
打者も“WBC後遺症”に苦しんだ選手が多かった。
前年に44本、110打点で2冠王を獲得、打率も.322で2017年の小久保ジャパンの4番を打った当時横浜DeNAの筒香嘉智は、開幕10試合を過ぎてもホームランが出ず、最終的には28本 94打点 打率.284に終わり、前年に打率.344で首位打者を獲得していた巨人の坂本勇人も、打率.291、15本、61打点と数字を落とした。ヤクルトの山田哲人は3年連続で3割を打っていたが、この年は.247。日ハムの中田翔も、開幕から深刻な打撃不振に陥り、リーグワーストの打率.216で、16本、67打点に終わり、5年連続だった20本塁打以上も途切れた。当時ソフトバンクの松田宣浩(現巨人)も“WBC後遺症”に苦しんだ一人。4月の打率は.216、得点圏打率は1割台だった。松田は、不振に陥った理由をこう説明していた。