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世界一を奪回した侍ジャパン。MVPの大谷翔平が優勝トロフィーを掲げる(写真:AP/アフロ)
世界一を奪回した侍ジャパン。MVPの大谷翔平が優勝トロフィーを掲げる(写真:AP/アフロ)

「世界一」侍ジャパン戦士を待ち受ける“WBC後遺症”の壁…過去にあのイチローでさえ重圧影響の“胃潰瘍”で開幕カード欠場

「帰国後、オープン戦出場は1試合だけですぐにシーズンに入り絶対的な練習量が少なかった。WBCではメジャーやマイナーの投手がボールを動かしてくるので、特にツ―シームに食い込まれないように少しボールの内側にヘッドを入れて打つように打撃フォームを変えたが、帰国して元に戻す作業がこ簡単にはいかなかった。日本の場合は、綺麗な回転のフォーシームが多いので、ズレが生じバットの軌道がおかしくなっていた。僕だけでなく筒香や山田らが、のきなみ不振になったのも、それぞれがWBC用に考えたものを元に戻すのに苦労したと思う。ちょっとした感覚だが、打撃とはそれくらいセンシティブなもの」
 疲労に加えて、WBC対策としてマイナーチェンジした打撃技術の再修正に戸惑ったというのだ。
 橋上氏も“WBC後遺症”に陥らないためのケアが必要だと指摘する。
「今大会で誰が一番心配かと言えば大谷でしょう。本来であれば徐々に調整する時期にフルスロットルでしかも投打であれだけのプレーをしましたからね。ただ彼はスーパーマンなので、そういう不安は当てはまらないと思いますが、源田なんかは小指を骨折しているわけですから、シーズンを考えると無理はさせられないのかもしれません。WBCの影響を受けないようにするには、まずは心身共にリフレッシュして疲労をしっかりと抜くこと。大谷もダルビッシュもWBCが終わった後に睡眠をしっかり取ったと言っていましたが、疲労の回復が一番。ここはチームのコンディショニング担当としっかりとコミュニケーションを取るべきだと思います。そして技術的な修正ですね。投手は、ボールの違いにより、フォームも変わっていたでしょうし、打者にも同じことが言えます。ただこれまでの大会と違うのは、各球団共にデータを解析したテクノロジーが進んでいること。元に戻すという作業をサポートすることになるのではないですか」
 確かに、この数年で各球団共に、トラックマンデータを利用した動作解析などのチェック機能が飛躍的に進化している。投手なら、回転数、回転軸、リリースポイント、打者なら打球角度やバットスイングのスピードや軌道をデータ化して、そこから修正や成長につなげるノウハウも発展している。“WBC後遺症”は各チームの監督やファンにとって気が気でない問題。だが、今回の世界一奪回は、新時代の到来を感じさせるものだっただけに、すべてが杞憂に終わるかもしれない。
(文責・RONSPO編集部)

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