米メディアは藤浪デビューと大谷対決をどう報じたか…「支配した直後に暴走」「力が未知数のものであると思い知らされた」
同じく地元紙の「サンフランシスコ・クロニクル」は、アスレチックス担当のマット・カワハラ記者が、キャンプ中から藤浪への期待を込めた記事を執筆してきた。
迎えたデビュー戦でも、カワハラ記者は自身のツイッター(@matthewkawahara)を随時更新。藤浪の快投を伝えていただけに、3回途中での降板にはショックを受けたようだ。同メディアで執筆した速報記事で、カワハラ記者は次のように記している。
「MLBデビューの最初の2イニングで、藤浪はアスレチックスが日本からやって来た右腕に託した希望を具現化させた。彼が投じた速球はうなりをあげ、スプリッターは鋭く落ちた。しかし、この日の登板は一瞬にしてレールから外れてしまい、彼の力が未知数のものであると思い知らされた。待望のデビュー戦は、不吉な結果を残して終わりを告げた」
ともに1994年に生まれた藤浪と大谷が、プロの世界で投手と打者として対峙するのは、阪神と日本ハムの高卒ルーキーだった2013年5月26日以来、2度目だった。
甲子園球場を舞台にしたセ・パ交流戦で、藤浪は7回を1失点に抑えて勝利投手になり、5番・ライトで先発した大谷は2本の二塁打を放った。約10年ぶりに、正確には3597日ぶりに実現した対決を、MLB公式は「翔平、A’sのルーキーとの再会を喜ぶ」と伝えた。
「エンゼルスの生きたレジェンド、大谷翔平が高校時代からの長年のライバル、藤浪晋太郎からラインドライブでフェンスに直撃する特大ヒットを放った。満塁ホームランをほんの数センチの差で逃した一打だったが、これは決して大げさに表現しているわけではない」
同メディアが報じた場面は、3回無死満塁で迎えた第2打席。すべて変化球で攻められた初回の第1打席。1-1から149kmのスプリットを打たされ、一塁ゴロに倒れた大谷は直球に狙いを定め、1-0から外角高目に投じられた159kmのそれを強振した。
レフトポ-ルへ向けて飛んでいった痛烈な打球は左に切れることなく、330フィート(約100.6m)と記されたフェンスの最上部をあっという間に直撃する。それでも長打ではなくシングルヒットとなり、ホームを踏んだのも三塁走者のローガン・オホッピーだけだった理由を、地元紙の「オレンジ・カウンティ・レジスター」はこう報じている。
「日本の高校時代にも藤浪と対戦したことのある大谷翔平が、左翼フェンスを直撃するラインドライブの強烈な打球を放った。しかし、ランナーはレフトに捕球される状況を想定してハーフウェイで止まっていたため、結果的にシングルヒットとなって1点が追加されただけだった。この時点で3-0となり、続くアンソニー・レンドンの犠牲フライ、ハンター・レンフローの四球、ジェイク・ラムの2点タイムリーで6-0とした瞬間に、最初の2イニングでは攻略する糸口を見つけられなかった藤浪をノックアウトし、記念すべき1日を終わらせた」
最終的には13-1の大差でエンゼルスが勝利し、大谷が6回無失点、10奪三振の力投を演じながら1-2で無念の逆転負けを喫した開幕戦の借りを返した。地元紙の「ロサンゼルス・タイムズ」は球団広報の話として、エンゼルスが1イニングで11得点をあげたのは敵地でレッドソックスと対戦した、2016年7月2日以来の快挙だと伝えている。