阪神4連勝と広島4連敗の明暗を分けた岡田監督と新井監督のベンチワークの差…9回攻防で決まったサインと見抜かれたサイン
阪神が4日、マツダスタジアムで行われた広島戦に5-4で勝利、岡田彰布監督が前回に指揮を執った2008年以来となる開幕4連勝を飾った。一方の広島は4連敗。勝敗を分けたのは岡田監督と広島の新井貴浩監督のベンチワークの違い。岡田野球が旋風を巻き起こしている。
4番の大山がカープの守護神の栗林から決勝のタイムリー二塁打
9回の攻防が明暗を分けた。
4-4の同点で迎えた9回に岡田監督がカープのクローザーの栗林から1点を奪いにいく。一死から俊足の中野が、この日の実にチーム8個目となる四球で出塁した。打席には途中出場の島田。ベンチが仕掛ける場面である。島田は、初球にバントの構えをした。ボールになるとヒッティングに切り替え次のボールをファウル。そしてカウント1-1から岡田監督は、エンドランのサインを送ったのだ。打球は一、二塁間を襲う。セカンドの菊池、中野のスタートを見て、一瞬、ベース寄りに動いたが、すぐさま切り返して抜けそうな打球に追いつくファインプレー。菊池でなければ抜けていただろう。
それでも得点圏に送ることになって、栗林にプレッシャーを与え、4番の大山が左中間を深々と破るタイムリー二塁打を放った。
「もう返すだけだと思って打席に入った。抜けると思った。自分の中で色々整理しながら打席に入ったことがいい結果につながった」
土壇場で1点を勝ち越した。
そして、その裏である。
岡田監督は守護神の湯浅をマウンドに送った。一死から代打の松山にセンター前ヒットを許す。新井監督は代走に足のある大盛を告げた。打者は1番の菊池。大盛はカウント2-2からスタートを切ったが、湯浅―梅野のバッテリーは動きを読んでいた。牽制球を一塁へ送り、大山から小幡へと転送されて大盛はタッチアウト。二死走者無しとなり、同点チャンスは潰えた。菊池はインハイのボール球に手を出して空振りの三振でゲームセットである。
岡田監督が前監督時代にチーフスコアラーを務めていた三宅博氏は「ベンチの野球の違いが出たゲームだった」との見方を示した。
「新井監督の経験のなさと、3連敗で本拠地に帰り、なんとかひとつ勝ちたいという焦り、岡田監督の勝負勘と先を読む力、連勝していることによる落ち着きというベンチワークの差がもろに出たと思う。9回の攻防で広島バッテリーは中野―島田の機動力を防ぎにいく警戒が見えなかった。岡田監督はストライクを取りにくるカウントで見事にエンドランのサインを出した。そして、大山を迎えたところで、栗林は一塁も空いていたのだからフォークを2球続けてストレートを待っているカウントでストライクをとる必要もなかった」
9回の阪神は、広島の焦りを見透かしたようにして攻めたのである。