ピッチクロック違反を取られた大谷翔平が「グレーゾーン」と語った部分とは何か…異なる判断基準が招いた混乱
一方で大谷に右手を動かした時点で始動した、という認識はない。試合中の説明だけでは、納得できず、大谷は試合後、審判室を訪ね、10分ほど滞在。当該プレーにとどまらず、その他のケースについても質問を重ねたよう。
その後会見した大谷は、「新たな発見があった」と一定の理解を示した。
「ランナーなしのときのセットというか、どっからがそうで、どっからがそうじゃないのか。横を向いているからセットになるのか。どの角度がセットじゃないのか。話した感じ、審判の方もちょっとグレーゾーンみたいな感じだったんで、ルールが始まって間もないですし、お互いにここまではセーフだよね。ここまでアウトだよね、というところを確認してきた感じですかね」
投球動作の始動の解釈も含め、具体的なケースについては触れなかったが、結局は、アイコンタクトも含め、ストライクゾーンのように球審によってピッチクロックのカウントをどこから始めるかの判断基準が異なる、ということが一因か。
とはいえ、彼らの責任ともいえない。大谷が口にしたようにまだグレーゾーンが多く、そこは球審の判断に委ねられているが、サンプルが少ないので、彼らの解釈もまちまち。選手もまた完全にルールを把握できているわけではない。
少なくとも今回、大谷のケースは、審判の間で共有されたはず。どこから始動か、ということに関しても、追って正確な見解が伝えられるのではないか。
いずれにしてもしばらくは、こうしてケースバイケースで問題が起きてから、選手、審判の認識をすり合わせていくしかなさそうだ。
まだ運用が始まったのは、オープン戦を含めて1カ月ちょっと。
大谷も「ルールが出来てまだそんなに経ってないので、試験的になる部分がもちろんありますし、随時ピッチャーが、バッターもそうですけど、対応していくっていうのが、みんな同じでしょうがないかなと思います」と、その点について理解を示していた。
(文責・丹羽政善/米国在住スポーツライター)