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楽天から現役ドラフトで移籍してきたオコエが猛打賞の大活躍で連敗脱出に貢献(資料写真・黒田史夫)
楽天から現役ドラフトで移籍してきたオコエが猛打賞の大活躍で連敗脱出に貢献(資料写真・黒田史夫)

伝統GT戦で5連敗を止めた巨人・原監督の勝負手…好投の戸郷を下げて点を取りにいった采配の理由とは?

 巨人が11日、東京ドームで行われた伝統の阪神戦に7-1で快勝、連敗を5でストップした。先発の戸郷翔征(23)が7回無失点で二塁を踏ませず、楽天から移籍してきた1番のオコエ瑠偉(25)が5年ぶりの猛打賞の2打点で勝利に貢献。原辰徳監督(64)の采配がチームに勢いをつけた。一方の阪神は、ここ5試合でわずか4得点と打線が低迷、中継ぎの浜地真澄(24)が2被弾で4失点するなどの綻びが露呈した。

 猛打賞のオコエが西勇のシュートを粉砕

 リードしている原監督が先に動いた。
 1-0で迎えた7回だ。一死一、三塁の場面で吉川が打席に入ると、ネクストバッターズサークルには長野、ベンチでは、戸郷がヘルメットをかぶりバッティンググローブをつけて準備していた。吉川はデッドボール。満塁となると原監督が戸郷に代打長野を告げた。
「ワンナウトなら長野、ツーアウトなら戸郷の続投」というプランだったという。
 阪神からすれば、ありがたい交代である。戸郷はストレートを軸に押しこんできて、7回まで3安打無失点。球数も87球で“100球の壁“があるといえど、打てる気がしなかった。まして、巨人の中継ぎ陣は、抑えの大勢につなぐ、7、8回が“魔のイニング”とされている。このピンチさえ乗り越えれば8回表にワンチャンスはくる。
 ある意味、原監督は勝負手を打った。
 試合後、原監督は「7、8回はメディアも含めて(問題だと)言われている。そこを逆に意識しすぎてしまってるのかな」と語っている。
 中継ぎを信頼した上で、守りに出るより、あえて攻めに転じて連敗しているチームに勢いを付けようとしたのである。
 長野は期待に沿えず一塁へのゴロ。大山は迷わずバックホーム。阪神ベンチは、一塁、三塁はホームゲッツーの指示だから当然のプレー。だが、打球が詰まっていてゲッツーはとれなかった。二死になって、ここまで2本のヒットを放っているオコエである。
「どうしても追加点が欲しかった場面だったんで何とか食らいついて、ここは長打とかじゃなくてヒット1本で、という気持ちでセンターへ返していきました」
 ボールワンからのファーストストライクを振り抜く。やや甘く入ってきたシュート。打球は詰まっていた。西勇輝からすれば打ち取ったふらっと上がった打球がライト前に落ちた。2者が生還。貴重なダメ押し点を加えた。原監督は、このテキサスヒットを「必然だ」と称えた。
 何が何でも1点を取りにいく、という原監督の勝負手の意義と執念が、凡退はしたものの長野からオコエへ伝播したというのである。
 故・野村克也氏は、「試合の流れ、テンポを変えるための采配というものがある」という話をしていた。原監督の勝負手は、5連敗で、どんよりとしていたチームの空気を一変させた。

 

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