米メディアも佐々木朗希vs山本由伸の“侍エース対決”に注目…「隠された完全試合」「山本は来年MLBに来て支配するだろう」
3大会、14年ぶりの世界一奪還に大きく貢献した両右腕による初めてのマッチアップ。ロッテの指揮官へ立場を変えながら、吉井監督も感無量の思いを抱いていた。
「日本を代表する2人のピッチャーが、どのようなピッチングをするのかと思って見ていました。どちらもさすがという立ち上がりを見せてくれたと思います」
先に点を与えられないという思いは、山本も強かったはずだ。
初回二死から3番・中村奬吾に、2回は先頭の5番・安田尚憲にともに二塁打を浴びながら後続を寄せつけない。3回は9番・平沢大河、1番・藤原恭大、2番・藤岡裕大からすべてカーブで三振をゲット。昨シーズンまで2年連続でパ・リーグの最多勝、勝率、防御率、奪三振の投手四冠を独占し、沢村賞にも輝いている山本のエンジンもいよいよ全開になった。
しかし、4回の先頭・中村から三振を奪った直後に状況が一変する。
4番・山口航輝にカーブをライト前へ上手く流し打たれると、安田には初球、145kmのフォークを思い切り引っ張られる。ワンバウンドで一塁手の頭上を越える連打で一、三塁のピンチを作られると、二死後には7番・茶谷健太への4球目でエンドランを仕掛けられる。
カウント2-1から125kmのカーブを必死にとらえた茶谷の打球は三遊間へ。サードの宗佑磨がダイブするも、ボールは懸命に伸ばしたグローブの先に当たってコースを変えてしまう。レフト前へ転がっていく先制打を山本はぼう然と見送り、ベンチ前でキャッチボールを始めていた佐々木は、ヒーローインタビューで隣に立った茶谷を笑顔で“イジって”いる。
「ちょっと(ヒットは)無理かなと思ったんですけど……さすがです」
それでも山本の心は折れない。5回と6回を1四球だけの無安打に封じて味方の反撃を待った。しかし、この時点で球数は「101」に到達。バトンを託したリリーフ陣が7回に1点を失った時点で事実上、勝負はついた。報道によれば、山本はこんな言葉を残している。
「先制点を許してしまったところが悔しい。何とか最少失点で粘り強く投げていこうと思っていましたが、球数が多くなってしまったところを反省しなくてはいけない」
息をのむ、という表現がぴったりと当てはまる投手戦は、WBCを介して日本野球界により強い関心を抱くようになった識者によってアメリカへも伝えられた。
MLB.公式のWBC担当として来日し、日本での1次ラウンドと準々決勝を取材したマイケル・クレア記者は、佐々木が日本ハムとの前回登板から打者29人を連続して打ち取っている、というツイートを自身のツイッター(@michaelsclair)で引用。さらにこうつぶやいた。
「隠されたパーフェクトゲームだ!」
佐々木による連続アウトは、最終的に32人連続にまで伸びた。