「最高の投球見せるも歴史的勝利に届かず」米メディアも指揮官も藤浪晋太郎の7回途中3失点を評価「傑出の仕事をした」
マクニールを凡打させたのは、1-1から外角低目に鋭く落とした147kmのスプリット。その前にはホームランを浴びていたアロンソを、内角に食い込む153kmの直球でショートゴロに仕留めて借りを返している。同メディアはさらに次のように続けている。
「マクニールへの投球こそが、アスレチックスが1月に1年325万ドル(約4億3500万円)の契約を藤浪と結んだ理由だった。29歳になったばかりの日本人右腕は、大きく出遅れている今シーズンの戦いのなかで、われわれを最も勇気づけるシーンを見せてくれた」
2月のキャンプから藤浪へ大きな期待をかけてきた、地元紙「サンフランシスコ・クロニクル」のアスレチックス担当、マット・カワハラ記者は自身のツイッター(@matthewkawahara)を試合経過に合わせて頻繁に更新。そのひとつで次のようにつぶやいている。
「試合には残念ながら負けてしまったが、そのなかで藤浪は好投を見せた。しかし、アスレチックスは依然として先発投手の勝ち星を求めている」
このツイートに、開幕3連敗の藤浪が歓迎される理由が凝縮されている。
開幕から15試合を終えて、アスレチックスの先発投手陣は0勝7敗とひとつも勝てていない。オークランドへ本拠地を移転した1968年以降の球団ワースト記録の13試合をすでに更新し、この日のメッツ戦前の時点で先発投手陣の防御率は実に10.22。6回以上を自責点3以下に抑えるクオリティースタートが達成されたのも、わずか一度だけにとどまっていた。
前夜には6人の投手が、メジャーワースト記録にあと1と迫る17四球を連発。メッツに6-17と大敗を喫していただけに、カワハラ記者も「サンフランシスコ・クロニクル」に寄稿した速報記事のなかで、藤浪の3回のピッチングに注目している。
「3回二死から1番のブランドン・ニモにヒットを許した藤浪は、続くマルテにも初球から3つ続けてボールを投げてしまう。しかし、4球目を投げる前に彼は自軍のダッグアウトを見て、まるで『慌てないでくれ』と伝えるようなゼスチャーを見せた。メジャーデビューを果たして間もない日本人右腕は、ひとたび投球が空回りしはじめると、それを修正するのに苦労してきた。それが長いイニングを投げられない原因だったが、今日はその点で進歩が見られた」
マルテは3-0からど真ん中に投じた、157kmの威力ある直球でセンターフライに打ち取った。カワハラ記者による同メディアの記事は、藤浪の生命線でもある直球のスピードが、マウンドを降りた7回には150kmに落ちていた点を今後への課題にあげている。
「1週間に1度の登板だったにもかかわらず、藤浪は先発ローテーション崩壊の一端を担い、アスレチックスのブルペン陣に大きな負担をかけてきた。そのブルペン陣を助けた原動力になった意味で、藤浪が7回も続投した点は注目に値する。ただ、6回を終えた時点で球数はまだ82だったが、7回には直球が93.4マイル(約150km)になってしまった」