なぜ”パリ五輪ホープ”鈴木唯人は仏デビュー戦でスーパーゴールを決めることができたのか…“同僚”GK川島永嗣の存在を仏紙が指摘
キックオフ前の時点で17位のストラスブールに対して、アジャクシオは19位だった。現状は20チームで争われるリーグアンが来シーズンから18チーム制となる関係で、今シーズンは下位の4チームがリーグドゥへ自動降格する。16位のスタッド・ブレストが同時間帯に行われていたニース戦で勝っていたからこそ、ストラスブールも絶対に負けられなかった。
果たして、後半26分までに2点のリードを奪ったストラスブールだったが、直後に1点を返され、その後も緊迫した展開が続いた。だからこそ、プレッシャーから解き放つダメ押し点を決めた鈴木は、リザーブを含めたチームメイトたちから手洗い祝福を浴びた。
前出の「レキップ」も「鈴木さん、ありがとうございます」と伝えた別の記事のなかで、ボスニア・ヘルツェゴビナ代表のMFサニン・プルチッチの言葉を伝えている。
「彼は両足を上手く使いながら、小さなスペースのなかでも巧みに動き回る。運動量も非常に多く、なおかつ知的で、ドリブルも上手いうえに闘争心もある。ストラスブールのスカウトが見抜いた実力を、わずか十数分間のプレーですべて証明してくれた」
ストラスブールが鈴木に関心を抱いたのは、昨年6月にウズベキスタンで開催されたAFC・U-23アジアカップだった。パリ五輪をみすえて21歳以下の構成で出場していた日本が3位に入ったこの大会で、鈴木は5試合に出場して3ゴールをマークしていた。
その後もU-22代表の中心として海外遠征に招集され、9月にスイスとイタリア、11月にはスペインとポルトガルと対戦した鈴木をストラスブール側も継続的にチェック。今冬の移籍市場で満を持してオファーを出し、マジョルカとの一騎打ちを制して獲得した。
今年6月末までの期限付き移籍だが、今シーズン終了後に50万ユーロ(約7400万円)の違約金で完全移籍に移行する買い取りオプションがつけられている。ストラスブールが期待する力が示されれば、晴れて正式な一員として迎え入れられるという意味だ。
来シーズンも引き続きフランスの地でプレーするために、一刻も早く未知の環境に順応しなければいけない。21歳のホープをピッチの内外でサポートしたのが、カタールW杯を戦った日本代表にも名を連ねた40歳の大ベテラン、GK川島永嗣だった。
ストラスブールと契約を結んだ翌日の1月28日。鈴木は自身のインスタグラム(@yuiton.s)を更新し、川島との2ショット写真を投稿しながら次のように綴っている。
「初の海外挑戦で不安な事もありますが、困った時悩んだ時は頼らせていただきます!これからたくさんお世話になりますが、よろしくお願いします!」(原文ママ)