広島の単独首位は春の珍事か本物か
楽天、巨人、西武でコーチを務め、現在BCリーグ新潟アルビレックスBC監督の橋上秀樹氏は、「秋山とデビッドソンの好調がポイントだ」という。
「メジャーから復帰して2年目の秋山は、今季は、しっかりと適応して確実に結果を出すと思っていたが、想像通りの状態でシーズンに入った。彼が、3番で返す、つなぐ、出る、の仕事をしてくれるので打線がつながる。菊池、秋山、西川と波が少なく確かな技術を持った打者を1、3、5番に配置していることが大きい。また打率は低いが、4本塁打の新外国人のデビッドソンがいいアクセントになっている。一発のある打者が6番にいるのは相手バッテリーからすればプレッシャーになる。おそらくマクブルームが日本野球とは何かを教えているのだろう。また坂倉が7番にいるのも怖い。坂倉の捕手専任の行方に注目していたが、打てる捕手を育てることができれば、間違いなく攻撃力は増す」
2試合連続で猛打賞をマークした秋山はリーグトップの打率.468で出塁率は.510もある。5番の西川も打率.341をキープし、1番の菊池が打率.283で得点圏打率は5割に達している。
また新外国人のデビッドソンは打率.154で、三振数はヤクルトの村上、中日のアキーノの19に次ぐ18と粗さが目立ち、ある意味、“爆弾”ではあるが、4本塁打をマークしている一発は魅力。
新井監督も「持ち味はホームランなんだから、小さくならず振ればいい」と、長所を生かすことを奨励している。
広岡氏は、「最終的には、阪神、ヤクルトの一騎打ちになりそうだが、広島も横浜DeNAと共に、その優勝争いに入ってくる」と明言する。
単独首位は春の珍事ではなく本物だという見立てだ。
「盗塁が4個で、今ひとつ機動力を使えていない点が不満だが、ここまでは昨年のように継投ミスなどのベンチワークで落としたゲームはない。そこだけで上下は大きく違ってくる。昨年も3位の阪神とは2.5ゲーム差だったわけだからな。問題は、今は好調の投手陣をシーズンを通じて、どう調整していくかだろう」
昨季の広島は借金8の5位で終わったが、3位の阪神も借金3で、そのゲーム差は2.5。広岡氏が指摘するようにベンチワーク次第でAクラスの可能性はあった。つまりチームのポテンシャルはある。この3年は、5位、4位、5位とBクラスで低迷を続けてきた広島だが、元気一杯の新井監督に引っ張られて、このままセに旋風を巻き起こしそうなムードだ。今日から敵地の甲子園で阪神との3連戦である。
(文責・駒沢悟/スポーツライター)