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阪神の村上頌樹が中日打線を2安打無四球完封してプロ初勝利を飾った(資料写真・黒田史夫)
阪神の村上頌樹が中日打線を2安打無四球完封してプロ初勝利を飾った(資料写真・黒田史夫)

なぜ阪神の村上頌樹は145キロで打たれないのか…G戦“7回完全”に続き中日戦を2安打10奪三振無四球完封で悲願のプロ初勝利

 

「上背もなくストレートのスピードも144、145キロ程度、打者からすれば、怖さがなく対処しやすく見えるのだろう。だが、腕を柔らかく使えて、リリースポイントが打者の近くにあり、おそらくボールのスピン量が多いため、手元で伸びて、その腕の振りのタイミングで振り出すと、ボール6分の1か8分の1個分くらい差し込まれて、ボールの下を叩くのだ。錯覚を起こさせるわけだ。藤川球児のストレートの質に近いのかもしれない。しかもコントロールミスがほぼない。どのボールでもカウントが取れ、勝負球にもできる。とりわけカーブがいいので、それが投球に緩急をつけている。クイックを織り交ぜて、フォームでも緩急をつけてタイミングを外しにいくので打者はさらに惑わされることになる。プロ3年目とは思えぬ投球術」
 三宅氏は、上背は違うが、腕の柔らか、コントロール、緩急に関しては、通算320勝を誇る阪神の“レジェンド”小山正明氏に重なるものがあるという。
 岡田監督の隠れた配慮もある。
 今季は主戦捕手に梅野を据えているが、大竹、村上というコントロールピッチャーにはインサイドワークに長けている坂本と組ませているのだ。大竹、村上は制球ミスが少なく、描いた配球をそのまま具現化できるため、坂本の“捕手脳”が生きるという判断。坂本は、コミュ力もあり、投手の長所を引き出して、相手の狙いの裏をかける。今季坂本がマスクをかぶった4試合は計28回2/3でわずか1失点、防御率は脅威の0.31である。

 村上は、兵庫県淡路島の出身で、智弁学園では、2016年のセンバツ優勝投手。5試合すべてに完投して決勝の高松商戦では延長11回にサヨナラ二塁打を放っている。東洋大に進み、1年生から先発で起用され新人王を獲得、2年時は調子を落としたが、3年で絶対エースとなり春は、6勝無敗でMVP、最優秀投手、最優秀防御率、ベストナインの4冠を獲得して侍ジャパン大学代表にも選ばれた。当時から制球力とカーブのキレ、その完成度が評価され即戦力としてドラフトの上位候補になっていたが、ドラフト前に前腕部を痛めたため、各球団に敬遠され評価を落とした。しかし、ユーチューブ映像を見ていた当時の矢野監督が「俺が捕手ならリードしてみたい投手」と評価してドラフト5位で指名したという背景がある。2020年のドラフトは、阪神でも1位佐藤輝明、2位伊藤将司、6位中野拓夢、8位石井大智と当たり年だったが、他球団を見ても、日ハムの伊藤大海、楽天の早川隆久、この日、投げ合った中日の高橋宏斗、横浜DeNAの牧秀悟、入江大生、広島の栗林良吏、オリックスの開幕投手を務めた山下舜平大らが指名されるなど逸材が揃った年だった。

 

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