「ファンだから何でも選手に言っていいわけではない」阪神の青柳がSNS誹謗中傷被害を報告し法的措置を示唆…エスコバーら相次ぐSNS被害問題への対策はあるのか?
プロ野球界では、ここ数年SNSによる誹謗中傷被害が深刻化していて、2021年には中日の福敬登が被害届を出した。誹謗中傷した人物が特定され、侮辱容疑で書類送検された。昨年はメジャーリーガーツの前田健太が、家族に対する誹謗中傷に対して法的手段に訴えてプロバイダーに投稿者の個人情報を開示させ、特定した人物から謝罪と2度と行わない宣誓をとりつけ、損害賠償金を支払わせた。それでも、こういう具体的なアクションを起こしたケースは稀で、泣き寝入りしている被害者がほとんどだろう。
開幕前にはNPBが12球団、日本プロ野球選手会との連名でSNSでの誹謗中傷投稿に対して注意を喚起する声明を発表していた。
「誹謗中傷等に対しては、発信者情報開示請求等の法的措置を講じ、専門家や警察などの関係機関と連携するなどして、これまで以上に断固とした対応をとってまいります」と、厳しい姿勢で対峙する方針を明かしていたが、それらの呼びかけや対策も効果を示していないのが現状だろう。
では、どうすればSNSによる誹謗中傷被害は撲滅できるのだろうか。
自らも過激な投稿をされた経験があり「言いたいことがあるなら堂々と表で議論しよう」と呼びかけたことがあるという元千葉ロッテで評論家の里崎智也氏は、こんな提言をしていた。
「球団や法律の専門家と相談した上で、バンバン法的措置を取っていくことで再発防止のための抑止力とするしかないのではないでしょうか。これ以上酷いと訴えますよ!と、法的措置を講じることを示唆して警告したところで実際に行動に移さなければ、誹謗中傷をストップさせることにはつながらないと思います。ただ裁判費用もかかることで、シーズン中の選手のプレー以外の負担にもなることでもあり、当事者や各球団任せにするのではなく、NPBがリーダーシップをとり、プロ野球界として、名誉棄損や侮辱罪、脅迫罪、業務妨害罪などにあてはまる案件を片っ端から全部訴えていくような動きをするしか手はないのではないでしょうか」
法的措置には、刑事告訴と民事訴訟のふたつのパターンが考えられるが、昨年10月から「改正プロバイダー責任制限法」が施行されて、これまで複雑で時間を要した情報の開示請求が簡略化されスピードアップされている。
まだまだSNS被害の問題を防止するための環境が整っているとは言えないが、NPBが特別な委員会を立ち上げて各球団と連携。選手の被害実態を吸い上げた上で、違法性のあるものに関しては、情報開示請求をどんどん行っていくことも、ひとつの再発防止策になるのかもしれない。いずれにしろ相次ぐ問題への緊急対応が求められる。
(文責・RONSPO編集部)