Jリーグが2026年からの「秋春制」移行を本格検討…メリットとデメリットを検証してみる
Jリーグは25日の理事会後に開いた記者会見で、シーズンを現行の「春秋制」から「秋春制」へ移行させる議論をスタートさせたと明かした。同時に最速で2026-27シーズンから移行し、開幕を7月最終週か8月初旬、閉幕を5月最終週か6月初旬とした上で、1月を中心に中断期間を設ける素案も公表。過去に何度も浮上し、その都度見送られてきた「秋春制」が約6年ぶりに俎上に上がり、年内に結論が出される背景を、移行に伴うメリット、デメリットとともに検証した。
ACLの秋春制移行とAマッチデイの変更が理由
直近では2017年12月の理事会で「当面移行しない」と否決された、現行の春秋制から秋春制へのシーズン移行を再び議論しているとJリーグが正式に認めた。
東京・文京区のJFAハウス内で25日に行われた理事会後の定例会見。秋春制へ移行する議論を約6年ぶりにスタートさせた理由を、Jリーグは「外部環境の変化をきっかけに、日本サッカーにとって最適なカレンダーを考える」という方針とともに説明した。
外部環境の変化で最大のものが、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)が従来の春秋制から秋春制へ移行した点となる。次回大会は2023年8月から2024年5月の期間で行われるため、出場するJクラブ勢は大会途中で登録メンバーが変わる状況に直面する。
さらに国際サッカー連盟(FIFA)が定める国際Aマッチデー期間も2026年から大きく変更される。現状では9月と10月にともに2試合ずつを組めるが、これが9月から10月にかけて最大4連戦を組めるようになる。国際Aマッチデー期間中は中断となるJ1が春秋制を継続した場合、シーズンが佳境に差しかかった時期に2週間あまりにわたって空白が生じる。
一連の変化を受けて、日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長が今年2月に外部Jクラブの代表者らで構成される実行委員会に対して再考を要請した。会見で説明にあたったJリーグの樋口順也フットボール本部長は「現時点で賛成か、反対かの議論は行っていない」と断りを入れた上で、実際に秋春制へ移行した場合のスケジュール素案を初めて公表している。
移行は最速の場合で次回W杯後の2026-27シーズンに設定。開幕を7月最終週か8月初旬、閉幕を5月最終週か6月初旬とした上で、降雪地域への配慮として1カ月を超えるウインターブレイクを12月の第3週か第4週から、2月の第1週か第2週にかけて設ける。
2月にスタートした議論は、まず検討にあたっての初期整理を行い、次に来月にかけて移行によるメリット、懸念点とその解決方策をそれぞれ明確化させる。各クラブへアンケートを実施していると明かした樋口本部長は、その上で「各クラブがどのような考えを持っていて、それらを集約するためにどのような情報が必要なのかを整理している」と現状を説明した。
これから議論が本格化していくなかで、どのようなメリットとデメリットがあるのか。
最大のメリットとしては、ヨーロッパ主要リーグのシーズンに合わせる状況があげられてきた。海外への移籍と海外からの補強の両面で選手が動きやすくなるとともに、代表チームの年間カレンダーがヨーロッパに主眼を置かれて組まれてきた背景もあって、Jリーグのシーズン移行は引いては日本代表の強化にもつながるとかねてから指摘されてきた。
さらに高温多湿の夏場の試合を避ける日程が、選手および審判団の体力消耗や不慮のアクシデントを未然に防ぐという指摘もある。犬飼基昭氏が2008年のJFA会長就任後に、浦和レッズ社長時代の苦い経験から急進的にシーズン移行を進めた最大の理由でもあった。