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  • 「大谷翔平にボール球を打たれたのが…」WBCメキシコ守護神が今振り返る侍Jに許した逆転サヨナラ劇の真実…「佐々木と山本はメジャーで通用する」
WBCの準決勝で村上宗隆に逆転サヨナラ二塁打を浴びて悲劇のクローザーとなったメキシコのジオバニー・ガイエゴス(カージナルス)が(写真・AP/アフロ)
WBCの準決勝で村上宗隆に逆転サヨナラ二塁打を浴びて悲劇のクローザーとなったメキシコのジオバニー・ガイエゴス(カージナルス)が(写真・AP/アフロ)

「大谷翔平にボール球を打たれたのが…」WBCメキシコ守護神が今振り返る侍Jに許した逆転サヨナラ劇の真実…「佐々木と山本はメジャーで通用する」

 続いて迎えたのは吉田。
【対吉田正尚】
(初球)93.9㍄(151キロ) フォーシーム ボール
(2球目)94.2㍄ (152キロ))フォーシーム ボール
(3球目)86.1㍄ (138キロ)スライダー ボール
(4球目)93.6㍄ (151キロ)フォーシーム ストライク
(5球目)94.1㍄ (151キロ)フォーシーム ボール 四球
「最悪、歩かせてもいいというのはあった。もちろん、勝ち越しのランナーなので、できれば避けたいが、そんな気持ちが出てしまったのかもしれない」
 続く村上は不振。この試合でも3三振。併殺も頭にあったよう。
「彼がいい打者だとは聞いていた。でも、WBCに入ってから調子が悪い、ということも。それまで僕たちはしっかり彼を抑えていた。だから、それ(併殺)がもちろん理想だった。ただ、それを狙うには情報が少なかった」
 そのシナリオまではイメージしきれなかったか。
 いよいよ村上との対戦。
【対村上宗隆】
(初球) 94.2㍄ (152キロ)フォーシーム ファール
(2球目) 87.4㍄ (141キロ)スライダー ボール
(3球目) 94.3㍄ (152キロ)フォーシーム 左中間二塁打
「誤算だったのは、2球目のスライダーが外れたこと。ファールを打たせて追い込みたかった。吉田のときもスライダーを引っかけてボールになった。あの時、村上は真っすぐにヤマを張ったのではないか」

 1-1からの3球目。捕手の構えは低め。
「それは、いま初めて気づいた」
 しかし実際のボールは、やや内角高めだった。それを捉えた村上の打球はいい角度で上がった。振り返って打球の行方を追いながら、ジオは思わず左ひざをついた。
「入ったと思ったから」
 フェンス直撃だったが、「一塁走者(代走・周東佑京)の足が速かったから、アウトにするのは無理だと分かっていた」。
 周東の生還を見届けると、ジオは村上を中心に出来た歓喜の輪を背に、ダグアウトへ下がった。
「やっぱり、大谷にボール球を二塁打されたのが痛かった。あれで流れを持っていかれた」
 しかし、「でも、日本にやられたなら、あきらめもつく。本当にいいチームだったから」とジオ。

「なんら恥じることはない。互いにすべてを出し切って戦った。いままで自分が投げた試合の中でも、最高の経験だった。序盤は僕たちがリードしたけど、日本が追いついて、こっちがまた突き放して。もちろん、勝っていたら、また違ったのかもしれないけど、互いが情熱を持って戦ったことを誇りに思っている。また、メキシコの力も証明できた」

 さて、そこで一旦、インタビューは終わった。通訳も離れた。すると、ジオが、突然、英語で話し始めた。
「先発したササキ(朗希)と2番手のヤマモト(由伸)はいいピッチャーだった」
 英語、話せるの? と聞こうと振り向くと、その言葉の前に言った。
「簡単な内容なら。でも、試合のことだったり、難しい内容は誤解を与えたくないから、通訳をお願いしている」

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