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”守乱”から阪神に2試合連続の逆転負けを喫して中日の立浪監督の苦悩が続く(資料写真・黒田史夫)
”守乱”から阪神に2試合連続の逆転負けを喫して中日の立浪監督の苦悩が続く(資料写真・黒田史夫)

なぜ立浪竜は阪神に2試合連続の逆転負けを喫したのか…岡田監督に読まれていた柳の続投と誤算だった守備のミス

 中日が敵地甲子園の阪神戦で2日連続で手痛い逆転負けを喫して借金は「8」に膨らんだ。先発の柳裕也(29)が、7回まで107球1失点の力投を見せ、自らのバットでタイムリーも放ち2-1でリードしていたが、続投した8回にショートの村松開人(22)がお手玉をして併殺を取れず、大島洋平(37)がファンブルで走者を三進させるなどの守りにミスが出て逆転を許した。立浪和義監督(53)が今季のテーマにしたセンターラインを軸にした守りの野球が構築できず、阪神の岡田彰布監督(65)には柳続投を読まれた。常勝軍団への準備段階と位置づけた監督2年目に立浪竜は試練の5月を迎えている。

 「柳がかわいそう」

 

ひとつのアウトの取りこぼしから悪夢が始まった。
 2-1で迎えた8回。先発の柳の球数はすでに100球を超えていたが立浪監督は続投を決断した。柳は一死から近本に四球を与えたが、続く中野をピッチャーゴロに打ち取った。柳は、すぐさま二塁へ送球しようとしたが、ショートの村松がベースに入るタイミングが遅れたため、ワンテンポ待ってから二塁へボールを送った。ほんの少しだけ一塁寄りにボールがそれたが、村松がキャッチして二塁はフォースアウト、ゲッツーは余裕のタイミングだった。しかし、一塁へ送球しようとボールを握り替えた際に、なんとお手玉。ボールを地面に落としてしまったのである。併殺成立で、チェンジのところが、一転、同点の走者を一塁へ残すことになったのだ。
 さらに悪夢が続く。
 続くノイジーにレフト前ヒットを打たれ、その打球を処理しようと前に出た大島が、グラブの土手に当ててファンブル。中野の三進を許してしまったのである。6点差を逆転された前日のゲームも、福永のトンネルと、大島のファンブルで自滅したが、またしてもバックの守乱が力投を続けてきた柳の足を引っ張ったのである。
 柳は続く大山に投じた不用意な初球のチェンジアップをレフト前へ引っ張られて同点。さらに佐藤にも一、二塁間を破られる勝ち越しのタイムリーを許して天を仰いだ。
 これが129球目だった。
 スポーツ各紙の報道によると、試合後、立浪監督は、「昨日もあったが、終盤の大事なところでミスが出ている。柳はあそこ(8回)で交代も考えたがあそこまでいったら柳」と嘆き、柳が近本に与えた四球を残念がったという。
 柳は、横浜高校の後輩にあたる伊藤将から4回二死一、三塁の場面で0-0の均衡を破る貴重な先制点を自らのバットで叩き出していた。
 これで4試合連続でクオリティスタートの好投を見せたが、結果は0勝2敗。ゲームセットの瞬間、柳は、ガックリと下を向き、長い時間、顔を上げなかった。ネット上では「柳がかわいそう」の声の大合唱となった。
 一方の岡田監督は中日ベンチの動きを読んでいた。
「終盤に向こうの(中継ぎ)ピッチャーがいなかったんで、柳を引き延ばすと思っていた。後半にチャンスがあると思った」
 この2連戦で中継ぎ陣をフル稼働していた中日の台所事情から、7回まで107球を投げていた柳の続投を読んでいた。
「7、8回はあんまりボールも来てなかったしチャンスやと」
 7回には、二死三塁から坂本がセンター前タイムリーを放ち1点差に迫ったが、柳のボールが浮いていて、8回も柳なら勝負になると踏んでいたのである。
「ゲーム展開的には予定通りよ」
 中日は13安打を放ちながら、あと1本が出ず2点しか取れなかった。歴戦の指揮官は、こういう展開には「逆の立場なら後半に嫌な感じがするものや」と、立浪監督の心理状態まで読み取っていた。

 

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