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”守乱”から阪神に2試合連続の逆転負けを喫して中日の立浪監督の苦悩が続く(資料写真・黒田史夫)
”守乱”から阪神に2試合連続の逆転負けを喫して中日の立浪監督の苦悩が続く(資料写真・黒田史夫)

なぜ立浪竜は阪神に2試合連続の逆転負けを喫したのか…岡田監督に読まれていた柳の続投と誤算だった守備のミス

 沖縄キャンプで立浪監督をインタビューした際、「今のドラゴンズを見たとき、野球の基本であるセンターラインを固めないといけないと考えた」という話をしていた。ここ数年の課題である得点力アップは当然のこと、投手力を生かすためにセンターラインを軸にした「守りの野球」を今季だけでなく、この先、ドラゴンズを強くするためのテーマにしていた。
 昨年オフに楽天の涌井秀章と阿部寿樹、横浜DeNAの砂田毅樹と京田陽太の2つの交換トレードを断行、ドラフトでは、この日、痛恨のミスをした2位の村松、6位の田中幹也(亜大)、5位の濱将之介(福井ネクサスエレファンツ)、7位の福永裕基(日本新薬)、育成で樋口正修(武蔵ヒートベアーズ)と5人の内野手を指名した。阿部のセカンド、京田のショートの動きには不安があり、阿部に三塁を守らせると、阿部、高橋周、石川と3人が重なるため、大胆な決断をしたのである。
 だが、誤算があった。レギュラーに最も近かった田中がオープン戦での怪我で右肩を手術することになって長期離脱を余儀なくされ、3年目の飛躍が期待された龍空が不調で2軍落ち、福永にしても4月26日の広島戦で負傷して5試合スタメンから外れていた。立浪監督が期待していた内野陣の競争ができなくなったのである。
 実は岡田監督は、立浪監督が抱いた構想に疑問を投げかけていた。
「うちもそうやけど、広い本拠地を持ち、投手力のいいチームがセンターラインを軸にする守りの野球を打ち出すことは方向性として間違っていない。でも、ドームの人工芝を本拠地とするチームは、なかなか難しいんよ」
 人工芝での守備力は、天然芝に比べて向上させやすい。だが、甲子園やマツダスタジアムなど、ビジターで天然芝、あるいは、土のグラウンドでプレーする際に、そのギャップを埋めるのは簡単ではない。
 荒木―井端の黄金の二遊間の“アライバコンビ“に象徴されるようにかつての中日は、センターラインの守備力を誇るチームだったが、それもキャンプから積み重ねてきた練習と努力の賜物であり、ルーキーや若手を中心にセンターラインを固めるには時間と労力が必要になる。 
 経験豊富な大島には、当然、天然芝への対応は頭に入っていただろうが、大事なところで、2日続けてファンブルをやらかした。まして村松や福永は、まだ1年目でプロのスピードにも慣れていない。多少のミスには、目を瞑らねばならないだろうが、2日連続でミスをして、しかも、それが勝敗に直結したのだから「仕方ない」では済まされないのかもしれない。17失策はリーグワースト。強化するはずの守りの野球が崩れては最下位浮上の出口さえ見えなくなる。

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