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阪神の岡田監督がヤクルト戦で勝負手を打って3連敗を阻止した(資料写真・黒田史夫)
阪神の岡田監督がヤクルト戦で勝負手を打って3連敗を阻止した(資料写真・黒田史夫)

なぜ阪神は3連敗しないのか…岡田監督のあえてセオリーを無視した勝負采配が的中してヤクルトに2-1勝利

 阪神が11日、甲子園球場で行われたヤクルト戦に2-1で競り勝ち連敗を2で止めた。1-1で迎えた8回に岡田彰布監督(64)が仕掛けた代走、代打攻勢が的中した。今季阪神は12球団で唯一3連敗以上の大型連敗が一度もない。なぜ阪神は3連敗しないのか。

 値千金の二塁打を放った木浪が打席の中で見せた工夫

 1-1で迎えた8回に岡田監督が動く。
 先頭のミエテスが防御率0・64で14ホールドをマークしている燕のセットアッパー清水からレフト前ヒットで出塁すると「出たら当然代走をいくつもりだった」と岡田監督は、代走に俊足の島田を告げた。
 岡田監督の中で、代走の一番手は植田だが、「まだ9回にもう一回(チャンスが)ある」と踏んで、ここはあえてエースではなく2番手の島田を送ったという。続く坂本は当然バント。2度ファウルで追い込まれたが、スリーバントを指示。坂本はなんとか転がしたが、清水の好守に阻まれ、島田が二塁で封殺された。それでも併殺を逃れて坂本が一塁に残ると、岡田監督は、再び代走に小幡を送る。
「坂本は足が速くないので。ずっと抑えていたキャッチャーは普通は代えないんですけど勝負でね。残っている中で足が速いのは小幡だったので」
 9回以降の展開を考えると好リードで伊藤将ー石井の2人を支えて1失点しか許していないキャッチャーは代えないのがセオリー。だが、岡田監督は、ここを勝負だと睨んで、あえてその鉄則を無視した。
 続く木浪は、2回に先制の三塁打を放つなど、打席に入る時点で打率.363の絶好調のキーマン。なかなか調子の上がらない打線の中で唯一頼れる左打者は、清水にウイニングショットであるフォークを外角低めにシンカー気味に落とされ、連続の空振り。まったくタイミングが合わずに2球で0-2と追い込まれていた。3球続けられたフォークをファウルにしたところで木浪は打席の中で、スパイク一個分ほど前へ立ち位置を変えた。フォーク対策である。カウント1-2からの4球目。清水のフォークは、見送ればボールになる絶妙のゾーンに落ちてきたが執念で食らいつく。三塁の村上の右を襲った打球は、そのグラブを弾き、ラッキーなことにカバーに入った長岡の逆を突く形になって、レフト前へと転がり、それを見た木浪は二塁を陥れた。
 一死二、三塁となり岡田監督は代打に糸原を送った。代打陣には原口、渡邉、糸原の3人が残っていたが、「足が速いランナーがサードにいる。前に転がせばなんとなる」と、コンタクト率の高い左打者を選択した。
 ヤクルトは超前進守備。カウント1-3から糸原の叩きつけた打球は、高いバウンドとなって、三遊間を締めていたショート長岡の右へ。
「ちょうどいいところに打った」(岡田監督)
 長岡は、体を切り替えてバックホームしたが、その送球は少し一塁側に高くそれた。キャッチャーの内山は、体を逆に反転して、タッチにいかざるを得なくなり、頭から滑り込んだ小幡の左手が先にホームベースの端をかすめていた。長岡に野選が記録され、ベンチで岡田監督が白い歯を見せる。

 

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