西武が性的暴行疑惑報道の山川穂高を登録抹消する“暫定措置”…捜査の推移を見守る苦悩も理解できるが説明責任を果たさずにショックを受けたファンを納得させられるのか？

　西武の山川穂高内野手（31）が12日に出場選手登録を抹消された。報道によると球団は「総合的に判断してコンディション的に抹消」と抹消理由を説明したようだが、「文春オンライン」が11日に報じた山川の性的暴行疑惑と警察に事情聴取を受けた事実を考慮して取られた“暫定措置”である模様だ。球団は当局の捜査と当事者の弁護士間で進んでいる協議の推移を見守っているようだが、波紋はチーム内外に広がっている。

　“文春砲”の衝撃

　“文春砲”が西武に衝撃を与えた。
　この日、西武は渦中の山川を登録抹消。報道によると広報の説明は「総合的な判断」に留まったそうだが、コンプライアンスに厳格な西武グループとして「文春オンライン」に報じられた山川の問題を看過できないと判断して1軍の試合に出場させることを禁じたと見られる。事実上の“暫定謹慎措置”だろう。
　事件そのものは、昨年11月に起きた事案だったが「文春オンライン」が報じたのは11日。報道によると、山川は、知人女性から「東京都内のホテルで性的暴行を受けて下半身に怪我を負った」と警察に被害届を提出され、山川本人も、すでに事情聴取を受けたという。
　現在は、当事者の弁護士間での話し合いが行われている最中で、文春の直撃取材に対して、山川は多くを語らなかったが、警察の事情聴取を受けたことと、妻子を持つ身でありながら不倫となる不適切な行為を行ったことを認め、一方で、双方の合意で行為に至ったことを主張して、性的暴行行為については完全否定した。
　双方の主張が食い違っているため、球団は捜査の推移と双方の弁護士間による協議を見守っている状況で、処分は下さずに“暫定措置”として登録抹消の手続きを取ったと見られる。今後の示談交渉次第では、被害届が取り下げられ示談が成立する可能性もあるためだろう。
　疑惑の真相は明らかになっておらず刑事事件として立件されるかどうかは不明。それでも子供たちに夢を与える立場にあるWBC代表で、西武のスター選手であり、妻子のある山川が不倫行為に及んだことと怪我を負わせてしまったという事実は看過できない問題だろう。これだけ大きく問題が表面化してしまい、チームやファンにショックを与えたことに加えて、社会的な影響も無視できない。当然、西武にも管理責任と説明責任が生じる。
　捜査途中であり、弁護士間の示談交渉中に、なんらかの発言を行うことが難しく、西武の球団としての対応の苦悩も理解できる。だが登録抹消の“暫定措置“でファンの目から遠ざけて、現状の事情説明の記者会見も開かない西武の対応は説明責任を果たしていると言えるのだろうか。
　元千葉ロッテの評論家の里崎智也氏は、「報道が先行していて、真偽のハッキリしていない現時点では、法律上で言えば“推定無罪”ですから、司法の場で白黒がつくまで、試合に出す、出さない、あるいは、どんな処分を下すべきだ、といった結論は出せないのではないでしょうか。現時点で球団が下した判断が、推移を見守る登録抹消であるのならば、僕ら部外者が、とやかく言える問題ではないと思います」という意見だ。
　また今のところ静観しているコミッショナーはなんらかの動きを見せなくてもいいのだろうか。