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鎌田大地がACミランと約4億4550万円で合意と伊メディアが報道(写真:picture alliance/アフロ)
鎌田大地がACミランと約4億4550万円で合意と伊メディアが報道(写真:picture alliance/アフロ)

なぜ鎌田大地がACミランと4億4550万円で契約基本合意の伊メディア報道が出たのか…争奪戦の背景を検証

 ミランでは2018年6月にアメリカの大手ヘッジファンド、エリオット・マネジメントが経営権を取得。名前が知られていない若手有望株に絞って補強を行い、破綻寸前だった財政を健全化させる戦略のもとで、昨シーズンには11年ぶりにスクデットを獲得した。

 オーナーがアメリカの投資会社、レッドバード・キャピタルに変わった昨夏以降も、可能な限り支出を抑える経営方針は変わらない。そのなかで多額の移籍金が発生するディアスの去就に関して、前出の「calciomercato.com」は次のように報じている。

「経済的な観点からも、移籍金ゼロで鎌田との契約を成立させることに障害はない」

 森保ジャパンではトップ下でプレーする鎌田は、今シーズンのフランクフルトではボランチを主戦場としてきた。さらに左右のサイドハーフでもプレーできるだけに、トップ下をメインにしながら、複数のポジションに対応できる点でもミランに必要とされたのだろう。

 鎌田自身も2026年の次回W杯をにらみ、ヨーロッパのビッグクラブでプレーする重要性を唱えてきた。その意味でも冬の時代を脱しつつあるミランは条件を満たすが、一方で懸念材料もある。それは来シーズンのUEFAチャンピオンズリーグで戦えるかどうかだ。

 フランクフルトは今シーズンのチャンピオンズリーグに出場し、鎌田はグループリーグで3試合連続ゴールをマーク。ラウンド16でナポリに2戦合計0-5で完敗したものの、決勝トーナメントの戦いも経験した。カテゴリーがひとつ下のUEFAヨーロッパリーグはすでに経験し、しかも優勝を果たしているだけに、来シーズンも最高峰の舞台で戦える環境を望むはずだ。

 今シーズンのセリエAで苦戦を強いられているミランは、残り3試合となったセリエAで5位に甘んじている。4位以内のクラブが来シーズンのチャンピオンズリーグ出場権を得るなかで、4位のラツィオとは勝ち点で4ポイント差をつけられている。13日には残留争いの渦中にあるスペツィアに、敵地で0-2とまさかの完敗を喫してしまった。

 一方でベスト4に進出している今シーズンのチャンピオンズリーグで優勝すれば、来シーズンの出場権を手にできる。しかし、ホームで行われた10日の準決勝第1戦で宿敵インテルに0-2で完敗。16日の第2戦へ向けて極めて厳しい状況に置かれている。

 今回はあくまでも年俸面における基本合意であり、移籍が正式に決定したわけではない。他のメディアに先駆けて報じた「calciomercato.com」も、記事のなかで「鎌田はミランのジャージーを着る自身の姿を望んでいる」としながら、こうつけ加えてもいる。

「勝負を制する上でのボールを握っているものの、ミランが最終的に鎌田を獲得するためには、ライバル勢との激しい競争を制する必要がある」

 ミランのライバルとしてあげられたのは、ナポリを皮切りにアトレティコ・マドリード、ベンフィカ、そしてプレミアリーグのニューカッスル・ユナイテッド。すべてのクラブが、残りわずかとなった各国のリーグ戦で来シーズンのチャンピオンズリーグ出場権を得られる順位につけている。鎌田を巡る争奪戦が、いよいよクライマックスを迎えようとしている。

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