巨人・広岡とオリ鈴木の電撃トレードへの賛否…好意的意見多数も巨人大物OBは田口と交換で獲得した“ポスト坂本”を育てきれなかった原監督の手腕を問題視
巨人、オリックスの両球団は17日、巨人の広岡大志内野手(26)とオリックスの鈴木康平投手(29)の交換トレードが成立したことを発表した。救援防御率が5点台と崩壊している中継ぎの強化が急務の巨人と、怪我人などが出ていて、右の内野手を求めていたオリックスの両球団の思惑が一致したもの。概ねファンからも好意的に捉えられているが、2年前にヤクルトで守護神として活躍中の田口麗斗(27)を放出してまで獲得した広岡を育てきれなかった原辰徳監督(64)の手腕を問題視する声もある。このトレードの成否はシーズン後に結果で明らかになる。
鈴木「今はただただ驚いてる」広岡「巨人でプレーしたことを誇りに」
電撃トレードだ。
仕掛けたのは巨人。“魔の8回問題”がクローズアップされチーム防御率4.31が12球団ワーストで、救援防御率となると、さらに5.05と悪化しているチームにとって中継ぎ強化は急務だった。
ドラフト3位の田中千、直江、大江といった若手が結果を出せず、中継ぎを立て直すキーマンとして期待されていた中川が、1軍昇格した17日のヤクルト戦で、その8回に起用されたが、いきなり塩見に一発を浴び、青木、山田に連打されるなど、結果につながらなかっただけに、なおさらトレードで獲得した鈴木への期待が大きくなる。
鈴木は2017年に社会人の日立製作所からドラフト2位でオリックスに入団した6年目の右腕で昨年までは「K-鈴木」の登録名でプレーしていた。
2019年にはローテー入りを果たし19試合に先発、4勝6敗、防御率4.31の成績を残した。その年の交流戦の巨人戦に先発して8回途中4失点で負け投手となったが、5回まで無失点に抑える好投を見せており、その力強い投球が、原監督の記憶に残っていたのかもしれない。
2021年には、中継ぎに配置転換されて持ち味を発揮、34試合に登板して、2S2H、防御率3.03で優勝に貢献。その年の最速は158キロを示し、目先を変えるカーブ、フォークなどのウイニングショットがあって三振が取れる。ただ制球に難があって好不調の波が激しく昨年は14試合、0勝1敗2H、防御率6.75の成績に留まり、オリックスのブルペンの選手層が厚いことから、今季はここまで1軍登板はなかった。ファームでは先発でスタートしたが中継ぎに回り、12試合に登板して0勝2敗、防御率5.40と数字は残せていない。典型的な「投げてみないとわからない投手」である点が不安だが、今もストレートの球速は150キロを超えている。鍵谷、高梨、三上らで、なんとか大勢までのイニングをしのいでいるが、150キロを超える球威があり三振の取れる投手が不在の巨人にとっては、鈴木のスピードと経験は魅力だったのだろう。
鈴木はオリックスを通じて「今はただただ驚いているということが、率直な気持ちです。ここまで思うような結果を残せず、チームが優勝していく中で貢献できていなかったことが本当に悔しいですし、球団関係者の皆さんや応援していただいている方々に申し訳ない気持ちです。新天地で活躍している姿を見ていただけることが恩返しになると思いますので、今まで以上に頑張っていきたいと思います」とのコメントを伝えている。
一方のオリックスは、開幕前にベテランの安達が戦列を離れ、復帰したと思えば、今度は二塁で起用されていた太田が故障で離脱。現在、二塁はゴンザレスを使っているが、三塁の宗も不振でスタメンを外れることがあり、本来はショートの紅林を三塁で起用するなど右の内野手が不足している状況だった。内野をどこでも守れ、一発の魅力も秘めた、まだ26歳の広岡は、ウィークポイントにピタリと当てはまる存在だったのだろう。