なぜ虎の”開幕投手”青柳は不振を脱出できず2軍落ち濃厚となったのか…左打者を9人並べた広島に攻略され5回7失点と“炎上”
阪神の開幕投手を務めた青柳晃洋(29)が19日、甲子園で行われた広島戦に先発したが、5回を投げて初回の5失点を含む8安打5四死球7失点と大炎上した。左打者を9人並べてきた広島打線に攻略されたものだが、我慢起用を続けてきた岡田彰布監督(65)も、さすがに4試合連続の初回失点に2軍降格を示唆。佐藤輝明(24)の球団通算8000号のメモリアルアーチなどクリーンナップ3人の一発で5回に同点に追いついたが7-10で敗れて連勝は「7」でストップした。
初球を狙い打ちされたタイムリーが計4本
カープの新井監督が繰り出した左打者9人の異色ラインナップに虎のアンダースローがのみ込まれた。問題の立ち上がり。育成から支配下登録されたばかりの中村貴のレフト後方を襲う大飛球をノイジーがフェンスにぶつかりながら好捕。気力溢れるファインプレーに助けられたが、2番の西川に三塁線に二塁打を打たれ、秋山に四球を与えた。
「ゲッツーの怖さはあったが思い切って振った」という4番の松山には、ツーシームを捉えられてピッチャー返しを食らい、青柳はグラブを差し出したが、打球はセンターへ抜けていった。
続く坂倉、林にも連続タイムリー。いずれも初球だった。
さらに田中に四球を与え、韮澤にもまた初球を逆方向に痛打された。木浪も止めることができずに5失点である。
これで4試合連続の初回失点。初回の防御率は6点を超える。
スポーツ各紙の報道によると、試合後、岡田監督は「毎回、毎回同じことやんか」と、怒りを通り越して、あきれていたという。
2回以降、立ち直ったかに見えたが、5回二死から、林に死球を与えてから、またおかしくなる。田中に二塁打を許し、韮澤を申告敬遠。満塁にしたものの万全を期して、投手の玉村と勝負したが、またストライクを取りにいった初球のシンカーを一、二塁間に引っ張られて、あまりにも痛い2点を献上した。
ゲームはノイジー、そして背番号8の佐藤の今季8号が、球団通算8000号になるというなんとも奇遇なメモリアルアーチが飛び出し、5回には大山の3ランで、ついに7-7に追いついた。甲子園のファンを喜ばせたが、及川、そして中継ぎに配置転換された西純、ビーズリーが、1点づつ失点して7-10のスコアで連勝は「7」でストップ。青柳の7失点がなければ連勝は「8」に伸びていたかもしれないゲームだった。
岡田監督は青柳の2軍落ちを示唆。
「もうええわ。青柳の話は」と、青柳に関する話を途中で遮り、あきれて「勝ち投手にならんで良かったよ」とブラックジョークを放ったという。
もし5失点のままで勝ち投手になっていれば、さすがに2軍に落とせなかったからだろう。
沖縄キャンプから岡田監督は青柳の異変に気がついていた。
「投手3冠のボールって、こんなもんなんか?」
青柳は、昨年最多勝&最優秀防御率&最高勝率の投手3冠を獲得した。最多勝&最優秀防御率は2年連続だ。元々、精密なコントロールで勝負するタイプではなく、ボールのキレと球威、そして打者がタイミングを取り辛い独特のフォームとテンポが長所だった。だが、岡田監督は、ブルペンで見た、そのボールの質に不安を抱いていた。