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明暗を分けた1回の攻防。先制点を奪ったのは西武4番渡部のタイムリーだった
明暗を分けた1回の攻防。先制点を奪ったのは西武4番渡部のタイムリーだった

なぜ西武は阪神の連勝を9でストップできたのか…打順変更に2つのバント&5人で5回の小刻みリレー

  西武が31日、本拠地ベルーナドームでの交流戦で9連勝中の阪神に4-0で快勝した。初回に渡部健人(24)のタイムリーで阪神先発の西勇輝(32)から先制すると、4回、7回に、中押し、ダメ押しと追加点を加え、守っては、約1年8カ月ぶりに先発した本田圭佑(30)が4回を無失点に抑え、5回以降は5人の目先を変える小刻みレーで阪神打線を完封した。パ・リーグで5位と苦しむ西武は、なぜセ・リーグの首位を快走している絶好調の阪神の連勝をストップできたのか。

 明暗分けた初回の攻防

 

 繋がりを欠いていた西武打線が、一夜にして“線”になった。
 第一次岡田政権の2007年以来、16年ぶりとなる10連勝と、球団記録を55年ぶりに更新する月間20勝を狙った阪神に4-0で快勝。破竹の快進撃を止めた立役者は、1-3で敗れた前夜から打順だけでなく顔ぶれも大きく変わった打線だった。
 口火を切ったのはWBCを制した侍戦士の源田壮亮だった。
 前夜まで務めていた5番から一転して、トップバッターで起用された源田が存在感を放ったのは初回。阪神の先発・西勇輝が投じた2球目。真ん中低目に沈む132kmのチェンジアップをバットの先で巧みに拾い、レフト前にポトリと落とした直後だった。
 レフトのノイジーがボールを弾いた隙を、源田は見逃さなかった。スピードを落とさずに一気に二塁へ。慌ててカバーしたショート木浪聖也からの送球が、セカンド中野拓夢のグローブに入った瞬間に、滑り込んだ源田の右足がベースに到達していた。
 源田が言う。
「(レフトが)ボールを弾いたのが見えたので、止まらずにいきました。ひとつでも先の塁へどんどん行こう、というのを意識しているので」
 続く今季初先発の川越誠司へ送りバントのサイン。今季の西武は、ここまで犠打は25個とリーグでもダントツに少ない。だが、指揮官は、虎攻略にビッグイニングではなく先制点にこだわり、確実に三塁へ進めバッテリーにプレッシャーをかけることを選択した。
「右打ちの(進塁打)かな、と思っていたんですけど。去年は一度も送りバントをしていなかったので『マジか』と思いながら、でも成功してよかったです」
 西が投じた初球。内角高目に食い込む134kmのスライダーを、川越は左打席でのけぞりながら西の前へ転がす。たった3球で一死三塁の先制機を作る。続く外崎が倒れたなかで、右打席に入った4番の渡部の脳裏からは余計な雑念が消え去っていた。
 阪神の村上頌樹の前に1-3で前夜は4打数無安打、2つの空振り三振を喫していた身長176kg、体重115kgの巨漢スラッガーが言う。
「どんな形であれランナーを返そうと思って、何とか頑張りました」
 2-2から西が投じた5球目。外角低目に沈む132kmのチェンジアップに泳がされ、体勢を崩しながらもがむしゃらに食らいつく。最後は左手一本でとらえた打球がセンター前へポトリと弾み、三塁走者の源田が手を叩きながら先制のホームを踏んだ。
 西武が先制に成功したのは、1-0で勝利した5月20日のソフトバンク戦以来、実に7試合ぶりだった。前夜から「何とか先手を取りたい」と語っていた西武の松井稼頭央監督は、待ち焦がれた試合展開に「ナイスゲームでしたね」と声を弾ませた。
「ゲン(源田)が1番に入って、どっしりと座ってくれたことが大きかった。ゲンの出塁に続いて川越もよくバントを決めたし、その後の渡部も非常に大きかったですからね。初回にああいう形で先制点を取れたことで、非常にいいスタートを切れました」
 無死二塁から得点につなげることができなかった阪神の攻撃とは対照的だった。

 

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