「バウアーは変わった」なぜ横浜DeNAの元サイヤング投手は西武戦で1か月ぶりの2勝目をマークすることができたのか?
横浜DeNAの元サイヤング賞投手のトレバー・バウアー(32)が3日、横浜スタジアムで行われた交流戦の西武戦に先発、ソロアーチを2発浴びるものの、8回、109球を投げて3安打10奪三振2失点と、ゲームをまとめ、打線の援護もあり、6-2のスコアで5月3日の広島戦以来となる2勝目をマークした。フォーシームを高めのゾーンに投じるのが、メジャー時代の彼のスタイルだが、“炎上”が続いたため、低めゾーンを狙う日本流にスタイルチェンジを果たし、その対応力が2勝目を呼び込んだ。「通用する」「通用しない」の賛否が巻き起こっていた超大物メジャーリーガーが、いよいよ本領を発揮し始めた。
「ソードセレブレーション」も初披露
暴風雨が過ぎ去ったハマスタのお立ち台でバウアーが叫ぶ。
「ヨコハマ大好き!」
日本一に輝いた1998年の復刻ユニホームに身を包んだバウアーがちょうど1か月ぶりとなる2勝目を交流戦の西武戦で8回2失点の好投でつかみヒーローの1人に指名された。
「3勝目までは、1か月もお待たせしないように頑張ります」
場内を笑いに包んだ。
立ち上がりに先頭の源田に四球を与えた。続く川越の打席で、スライドステップのモーションを盗まれ、盗塁を許し、結局、川越も四球で歩かせて、無死一、二塁のピンチを迎えた。
「皆さんに言えないようなことが頭をよぎった」そうだが、ここから元サイヤング賞投手の本領発揮。3番の外崎に対して、カウント2-2から、アウトローへズバっと155キロのフォーシームを投げ込むと、“アップルパンチ”はバットを動かすことができない。
これまでのバウアーにはなかった配球だった。
回転数の多いフォーシームを高めゾーンに投じるのが、メジャーで5年連続2桁勝利をマークしてきたバウアーのスタイル。フライボール全盛のメジャーではアッパー気味のスイング軌道が主流で、高めゾーンへの回転数の多いフォーシームが有効だが、日本の打者は、コンパクトにレベルに振ってくるため、その配球が、ここまで通用しなかった。
おまけにフォーシームと変化球の癖を見抜かれ、5月9日の巨人戦、16日の広島戦で連続7失点。だが、来日5試合目となる西武戦で、日本流へのスタイルチェンジの一端を見せたのである。
さらに続く渡部の打席で、モーションの癖を見抜いていた源田が、今度は三塁へスタートを切った。揺さぶったつもりが完全なフライングスタート。
「内野手が声を出してくれた。あのピックオフでアウトにできたことが大きかった」
伊藤光も、右手を上げて異変を伝え、バウアーは、冷静に体を反転、そのままボールを持って走って追い込んでから挟殺プレーで源田をアウトにした。
三浦監督も「心は熱く、頭は冷静。しっかりと見えて対処できている」と称賛したプレーだった。
二死二塁となって渡部にはアウトローにスライダー。ここまで変化球も浮いたものを痛打されるシーンが目立ったが、見事に低めにコントロールされたボールに、西武の新4番打者のバットは空を切り、バウアーはグラブを叩いて吠えた。
リズムをつかんだ2回、3回は連続で三者凡退。2回はマキノンを低めのフォーシームで中飛、鈴木にはアウトローにストレート、スプリットチェンジと続けて二ゴロ、若林も低めに落としたスプリットチェンジでスイングアウト。ほとんどのボールが低めにコントロールされていた。
試合後、「まだ低めの精度には課題が残る」と、納得していなかったが、低め重視の日本流へのスタイルチェンジが西武打線を苦しめた。