「何も悪いことをしていないのに非難は辛い」全仏“ボールガール直撃失格問題”でプロ選手協会が加藤未唯の処分を「不当」と声明もバッシングされている対戦相手はSNS“2次被害”を訴える
全仏オープンの女子ダブルス3回戦で起きた加藤未唯(28、ザイマックス)の“ボールガール直撃失格問題”の波紋が収まらない。賞金とポイントを没収された加藤は6日、失格処分の取り消しを求めて提訴、プロテニス選手協会(PTPA)も同日、「失格処分は不当で不公平」との声明を出した。混合ダブルスのパートナーも「悪意もぶつける意図もなかった」と、加藤を擁護した。一方、失格を主張したことでバッシングされ、内輪話も報道されているマリエ・ブズコバ(24、チェコ)、サラ・ソリベストルモ(26、スペイン)組も、「何も悪いことをしていないのに非難されるのは辛い」と訴えるなど、この騒動はまだまだ決着を迎えそうにない。
PTPAが賞金4万3000ユーロ(約640万円)の没収も「不当」と声明
世界的な“炎上騒ぎ”となった加藤がボールガールにボールをぶつけて泣かせたことで失格となった問題に新たな展開があった。加藤は「ぶつける意図はなかった」と主張して、失格処分の取り消しと没収された賞金4万3000ユーロ(約640万円、選手1人は半分)と110ポイントの返還を提訴。
ノバク・ジョコビッチ(セルビア)が中心になって立ち上げた選手の立場を擁護する“選手会”であるプロテニス選手協会(PTPA)が「加藤未唯選手の全仏オープンでの失格に対するプロテニス選手協会の対応について」という声明で「PTPAは、スポーツにかかわるすべての人々、特にボールガールとボールボーイの安全と幸福を確保することが、最優先事項であることを約束する。しかし加藤未唯とアルディラ・スージャディを失格とした決定は、不当であり、不公平であった」と批判。
「この事件は偶発的なもので、まったく攻撃的なものではなかったことは明らかだ。このことがコードバイオレーションやその後の失格につながることはなかったはずだ。選手は、その権利が侵害された場合、公正な問題解決の手続きへのアクセス権を持つ必要がある。PTPAは、選手の意見を聞き、彼らの問題への適切な対応を提唱している。未唯とアルディラの賞金とランキングポイントを最低でも回復させる必要があるということだ。故意に起こしたのではない行為に対する厳しい罰則は、スポーツの完全性を損ない、選手のキャリアに害を与える。懲戒処分は、公平性、健全性、正当性に沿ったものでなければならない」などと主張。すでに加藤ともコンタクトを取り、フランステニス連盟とグランドスラム委員会と協議を行っていることを明かした。
海外メディアも失格処分を受けた加藤に同情的だ。
米CNNは、「テニススターの加藤が論議を呼ぶ失格についての質問を答える苦闘の中で涙を流す」との見出しを取り、ティム・プッツ(35、ドイツ)とコンビを組んだ混合ダブルスで準決勝進出を決めた後の会見の様子を伝えた。
「悪意なくボールガールにボールをぶつけたことで論議を呼ぶ失格処分を受けてから1日後、感情の高ぶる加藤がその出来事についての質問に答えるのに苦しんだ」と伝えた。
記事は、「混合ダブルスの準々決勝に勝った後、加藤はコート上で涙を見せ、その後の記者会見でも、感情的になり、質問に答える前に一度、自分を落ち着かせるために会見場を出た」と紹介。加藤は、日本語で短く答え、「今回は英語で話すのは難しい」と言ったという。
そして混合ダブルスのパートナーであるプッツの声を報じた。
「まず何より、ボールガールにボールがが当たったことは確かだから、彼女が大丈夫だったことをミユを含めて我々全員がうれしく思っている。ミユは起きたことに対しひどく悪いことをしたという気持ちを持っている。皆にとって特に彼女とボールガールには不運な出来事だった」