「終わり良ければすべて良し」「あの2人がさらに憎らしくなる」世界中のファンが失格処分を乗り越え混合Vの加藤未唯と球をぶつけたボールガールとの笑顔再会を称える
テニスの全仏オープンの混合ダブルスで初優勝した加藤未唯(28、ザイマックス)が9日、自身の公式SNSを更新し、女子ダブルスでの失格処分の原因となった球をぶつけたボールガールとの笑顔のツーショット写真を公開した。ボールガールに“お詫び“のギフトを贈り「元気でボランティア活動を続けていると聞いて嬉しい」との言葉を添え、笑顔で再会を果たした加藤の立ち居振る舞いに海外メディアや世界中のテニスファンから称賛の声が相次いでいる。
「元気でボールガールとしてボランティアを続けていることを聞いて嬉しい」
全仏オープンの激動の1週間を終えた加藤にとって、球をぶつけてしまったボールガールの“その後”が一番の気がかりな問題だったのだろう。
グランドスラムで初のタイトルとなる混合ダブルス優勝を手にした加藤は、その翌日に、大会のボールガールのポロシャツを着た少女の肩に優しく手を回した笑顔のツーショット写真を自身の公式ツイッター、インスタで公開した。
加藤は英語で「あなたが元気でボールガールとしてボランティアを続けていることを聞いて嬉しいです」との言葉を添え、「あなたに贈ったギフトを楽しんでいただければ幸いです。そして私は、あなたと再会できることを楽しみにしています」と続けた。
少女の手には加藤からプレゼントされた紙袋がぶら下がっていた。
意図的ではなかったとはいえ、偶然にもボールをぶつけて、泣かせてしまい、その後の一連の騒動で、さらに精神的な苦痛を与えてしまった“お詫び“のギフトを贈ったようだ。
加藤はアルディラ・スーチャディ(28、インドネシア)と組んで臨んだ4日の女子ダブルス3回戦で、マリエ・ブズコバ(24、チェコ)、サラ・ソリベストルモ(26、スペイン)組と対戦したが、加藤が、バックハンドで打ったボールが、ボールガールの肩から頭付近を直撃し、この少女は泣き出してしまった。
審判は、当初、警告を加藤に与えたが、ブズコバ、ソリベストルモが「失格じゃないの?」「ワザとじゃないの?」「(ボールガールが)泣いているじゃない」と失格を訴えて抗議。スーパーバイザーの判断で急転、失格処分となった。
ペアで約640万円の賞金とポイントも没収となり、その後、加藤は「納得がいかない」と処分の取り消しを訴えて提訴。プロテニス選手協会も「不公平で不当な処分」との声明を出して、加藤をバックアップして、主催者に働きかけているが、テニス関係者やファンからは、審判団の決断と共にスポーツマンシップに欠ける行為を行い、失格処分にほくそ笑んでいたブズコバ、ソリベストルモへの非難の声が殺到する大騒動に発展した。
加藤は、それらの失意を乗り越え、混合ダブルスで、同種目で史上3人目となる優勝を手にしたが、その一方で、渦中のボールガールの怪我や、精神的な苦痛などを心配していたのだ。
海外メディアも、2人の笑顔の再会を称えた。
フランスのテニス専門サイトの「テニスメジャー」は、「終わり良ければすべて良し。加藤がボールガールにギフトをプレゼント」との見出しを取り、「ローランギャロスの混合ダブルスの新チャンピオンの加藤が、女子ダブルスの試合中に誤って球を当てて失格につながることになったボールガールと再会し、彼女にギフトをプレゼントした」と伝えた。加藤のインスタを掲載して、「2人は晴れやかな表情で写真に収まり、加藤はその後にソーシャルメディアで内容を記した」と報じた。