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帰ってきた巨人の菅野が今季初白星。ソフトバンクを5回2失点に抑えた(資料写真・黒田史夫)
帰ってきた巨人の菅野が今季初白星。ソフトバンクを5回2失点に抑えた(資料写真・黒田史夫)

「本来の姿には程遠い」5回2失点で今季初勝利も“見切り発車”の菅野智之は交流戦Vを狙う巨人の“救世主”となれるのか?

 ソフトバンクは先発の藤井が左内腹斜筋の肉離れにより3回で降板するアクシデントがあり、5回に丸が2番手の尾形から弾丸ライナーの7号ソロ。さらに四球を絡めた連打で一死満塁とチャンスを広げ、秋広の同点タイムリー、岡本のセンターへの犠飛で3-2と勝ち越したのである。
 その裏の菅野はさすがだった。
 点を取ってもらった後のイニングの大切さは誰よりも知っている。近藤、柳田と連続センターフライに打ち取り、最後は柳町をフォークで三振。勝利権利を手にして93球でマウンドを譲った。5イニング降板は物足りないが、ファームでは、79球までしか投げておらず、球数での降板は仕方がなかった。
 原監督も、菅野を勝たせるために盤石の采配をふるった。6回に2番手の大江が、いきなり四球、死球と荒れて一死二、三塁とされると、菊池が甲斐を三振、高梨が中村晃を三振と、“一人一殺”のリレーでリードを守る。7回は中川、8回は、菅野の復帰を念頭におき、先発から中継ぎに配置転換したビーディ、そして最後は大勢で締める無失点継投。ベンチから菅野も「何とか頼むという気持ち」で見守っていたという。
 では、昨季10勝7敗の菅野は、戸郷一人に“おんぶにだっこ”で苦しい巨人のローテ―を救う存在となれるのか。
 現役時代に阪神、ダイエー(ソフトバンク)、ヤクルトでプレーした評論家の池田親興氏は「ゲームを作ったのはさすがだが、まだすべてがしっくりきていない。本来の菅野の姿には程遠い内容で、次の登板以降を見てみないと何とも言えない」と厳しい見方をした。
「フォームに迫力を感じられず本来の菅野が見せる支配するようなピッチングではなかった。右ヒジを痛めたこともあり状態は100%ではなく、体に負担にかからないようフォームに制限をつけているのだろう。まだ見切り発車の段階。ボールが左打者の外角高めに抜けるものが多かったが、これはしっかりとしたラインが作れておらず左肩、左腰の開きの早さからくるもの。狙ったところにコントロールできる球種もなかった。軸になるボールがない中で、2失点にまとめたのは、彼の技術だが、高めに手を出したソフトバンク打線の拙攻にも助けられた。今後中6日でローテーを任されてハイクオリティスタートを守っていくには、通常は投球の33%を占めるストレートの質と球威を上げて、制球力を整備し、イニングによってギアを上げるメリハリを作れるようにならねばならないだろう」
 この日は、93球中ストライクが47球でボールが46球。ストライク率51%は菅野にしてみれば悪すぎた。
 またストレートの割合も29%に留まり、昨年の平均33%に比べると少なかった。最速は150キロを出し、初回、近藤を空振りの三振に斬ったストレートは素晴らしかったが、池田氏が、指摘するようにまだ“見切り発車”の段階なのだろう。
 何を求められているかを一番理解しているのは菅野自身だ。
「まだまだ5回投げて満足しているようじゃいけない。毎試合、7回、8回と投げられるようなしっかりコンディションに持っていってチームに貢献したい」
 そしてこう続けた。
「やっぱりこれ(1軍のマウンド)に勝るものはないと思う。まだまだ取り返すチャンスはある。最後まで腕を振っていきたい」
 これでチームは貯金「1」。交流戦成績を7勝5敗とし,横浜DeNAに並び交流戦での首位に浮上した。今季の交流戦は大混戦で最下位の西武まで2ゲーム差しかなく、まだどのチームにも優勝の可能性はあるが、菅野は、こう声を大にした。
「交流戦も優勝というところを目指していると思うので、まずは交流戦に優勝して良い形で後半戦に臨めるように。自分が先頭切って頑張っていきたい」
 登板後の菅野の右ヒジに問題がなければ次回登板は交流戦最終戦の18日の楽天戦だ。
(文責・RONSPO編集部)

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